
9回に2本目の13号3ランを放ち、笑顔でホームイン
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は5月19日だ。
「三冠王なんて取れないだろうから、あすの新聞を銅のプレートにしてもらおうかな」
上機嫌のゴジラ、
巨人・
松井秀喜だった。2000年5月19日の
ヤクルト戦(神宮)でついに打撃3部門のトップに立った。
まず3回、松井はヤクルト先発・
川崎憲次郎に2ストライク0ボールと追い込まれたが、「3球勝負と分かっていた」と3球目、外角高めボール気味のストレートをたたき、レフトスタンドに。ここから「さわらぬ神にたたりなし」とばかりヤクルト投手陣が逃げる。3打席目敬遠、4打席目も四球。さすがにチャンスはもうないかと思ったら9回表、5回目の打席が回ってきた。
一死一、二塁、ここで松井は左の
藤井秀悟のフォークをすくい上げ、右翼席中段に豪快な3ラン。2安打4打点となり、通算13本塁打、37打点、打率.356で“三冠王”だ。しかも安打、得点、塁打、四球、出塁率までトップだからすごい。
「まだ3分の1だからね。関係ないよ」
という松井だが、その気がないわけはあるまい。最終的には三冠王はならず、02年限りで海を渡った松井。たられば、ではあるが、ずっと日本球界にいたらどうなっていたか、見たかった。
写真=BBM