長いプロ野球の歴史の中で、数えきれない伝説が紡がれた。その一つひとつが、野球という国民的スポーツの面白さを倍増させたのは間違いない。野球ファンを“仰天”させた伝説。その数々を紹介していこう。 さまざまな言語で……
1937年秋にタイガース入りしたハワイ出身の日系人選手、田中義雄。ニックネームのカイザー(ドイツ語で皇帝)はドイツが好きだったからだという。40年にはリーグ3位の打率.293をマークし、捕手のベストナインにもなっている。
特徴はとにかく、試合中、しゃべり続けること。ささやきなどというレベルではない。時に英語、時に日本語、時にハワイの現地語のような言葉で話し、とにかくうるさかった。
インサイドワークも巧みで、40年8月3日、
三輪八郎が
巨人相手にノーヒットノーランを達成した試合が「自分のベストゲーム」だと振り返る。
「三輪には絶対クビを振るな。サインどおりに投げればいいとだけ指示したんだ。あれは気持ち良かったね」
バッティングに関しては1200グラムという超重量バットを短く持ってコンパクトに振り、巨人・
沢村栄治キラーとしても知られている。
戦後は
阪神の監督も務め、天覧試合の指揮も執った。
写真=BBM