プロ野球史を彩ってきた数多くの名選手たち。生まれた世代ごとに週刊ベースボールONLIN編集部がベストナインを選定して、“史上最強世代”を追いかけてみる。 首位打者と本塁打王も2人ずつ
“シルバー世代”といっても、シルバーシートの“シルバー”ではない。突出した存在はいないが、いぶし銀タイプの名バイプレーヤーが多く、司令塔の
炭谷銀仁朗、一塁にいる銀次ら、名前に“銀”のつく名選手も並ぶ。
スターだらけの黄金世代と言えるほどの豪華さはない。それでも、いざ対戦したら粘り強さと渋いプレーで食らいついていく。そんな通をうならせる野球を繰り広げてくれそうなのが、1987年に生まれた世代だ。
【1987年生まれのベストナイン】(1987年4月2日~88年4月1日生まれ)
投手
野上亮磨(
巨人)
捕手 炭谷銀仁朗(
西武)
一塁手 銀次(楽天)
二塁手
大和(
DeNA)
三塁手
川端慎吾(
ヤクルト)
遊撃手
安達了一(
オリックス)
外野手
T-岡田(オリックス)
平田良介(
中日)
角中勝也(
ロッテ)
指名打者
レアード(
日本ハム)
長く西武の司令塔を担う炭谷は2015年にベストナイン、ゴールデン・グラブをダブル受賞。同様に楽天ひと筋で中心選手としてチームを引っ張る銀次は17年にダブル受賞した。ともにパ・リーグを引っ張る名選手だが、打線はパ・リーグの選手が優勢だ。
外野にいるT-岡田は10年の本塁打王。指名打者のレアードも16年の本塁打王で、左右の長距離砲がクリーンアップに並ぶ。外野の角中勝也は2度の首位打者に輝いたヒットメーカーだ。
内野の要は華麗な遊撃守備を誇る安達了一。一塁を皮切りに三塁、外野もこなす
細谷圭(ロッテ)、二塁を中心に外野も守れる
小島脩平(オリックス)も同世代だ。ユーティリティーでは
荒木貴裕(ヤクルト)も控えていて、セ・リーグ勢も負けていない。
リリーバーは助っ人頼み
世代の象徴的な存在が二塁にいる大和(前田大和)。俊足巧打に堅守も持ち味のスイッチヒッターだ。
阪神時代のチームメートで、外野手の
俊介(藤川俊介。阪神)も同世代。外野にいる平田良介は、この世代で貴重な中距離打者だ。三塁の川端慎吾はセ・リーグ唯一のタイトルホルダーで、15年に首位打者となってリーグ優勝に貢献。ここでも角中と左打席から安打を量産していく。
投手分業制が浸透したこともあり、各世代でリリーバーが増えてきているが、この世代はスターターが多いのが特徴的となっている。ベストナインには通算勝利で世代トップを走る右腕の野上亮磨を置いた。18年から巨人でプレーしているが、投手陣はセ・リーグが優勢で、左腕の
村中恭兵(ヤクルト)、右腕では
山口俊(巨人)や
福井優也(広島)らのスターターが並ぶ。
セ・リーグ勢の先発ローテーションに食い込むのが
十亀剣(西武)で、17年までの成績で貯金がある唯一の先発タイプ。ただ、いずれも絶対的エースには届いていない。キャリア後半の活躍が期待される。
リリーバーは助っ人頼みとなるが、やはりセ・リーグ勢だ。セットアッパーは2年連続で30ホールドを超えて連覇を支えたジャクソン(広島)に、2年連続クライマックスシリーズ進出に貢献した
パットン(DeNA)のヒゲの右腕2人が二枚看板を形成する。メジャーでの実績もある
カミネロ(巨人)と17年にセーブ王となったドリス(阪神)で、伝統の2チームからクローザーも右腕の二枚看板だ。
バイプレーヤーの層は厚い。手堅い攻撃で得点につなげて、終盤までにリードできていれば、助っ人リリーバーに職人たちの出番。小さなミスで勝ち星を落とす可能性は低い。
写真=BBM