プロ野球史を彩ってきた数多くの名選手たち。生まれた世代ごとに週刊ベースボールONLIN編集部がベストナインを選定して、“史上最強世代”を追いかけてみる。 かつての“ハンカチ世代”
2006年夏の甲子園で、早稲田実のエースとして決勝戦の引き分け再試合を制した斎藤祐樹(日本ハム)が“初代”世代の顔だった1988年生まれの世代。ハンカチで汗をぬぐう姿から“ハンカチ王子”と呼ばれ、この世代も“ハンカチ世代”と呼ばれていた。
その決勝戦で、敗れた駒大苫小牧高のエースだったのが
田中将大。13年に無傷の24連勝で
楽天を初の日本一へと導き、その後もヤンキースで活躍を続けている。伸び悩み続けている斎藤の一方で、田中のほかにも多くの名選手が実績を残し、近年になって開花した遅咲きの名選手もいて、今や“マー君世代”、あるいは“プラチナ・エイジ”の呼称が一般的だ。
【1988年生まれのベストナイン】(1988年4月2日~89年4月1日生まれ)
投手 田中将大(楽天)
捕手
會澤翼(
広島)
一塁手
福田永将(
中日)
二塁手
堂上直倫(中日)
三塁手
宮崎敏郎(
DeNA)
遊撃手
坂本勇人(
巨人)
外野手
秋山翔吾(
西武)
柳田悠岐(
ソフトバンク)
梶谷隆幸(DeNA)
指名打者
マレーロ(
オリックス)
田中に負けずとも劣らない右のスターターが、16年からドジャースでプレーしている
前田健太(広島)。メジャーで活躍する2人の右腕が先発投手陣の豪華二枚看板だ。司令塔が17年に正捕手として広島の連覇を支えてベストナインに選ばれた會澤翼だから、相性では前田に分があるかもしれない。
貴重な先発左腕が
大野雄大(中日)と日本ハム時代の12年に最優秀防御率でMVPとなった
吉川光夫(巨人)。15年に来日1年目の外国人投手では初めての10連勝などで最高勝率となった
マイコラス(巨人)、15年に最優秀防御率となった
石川歩(
ロッテ)も同世代だ。クローザーの
澤村拓一(巨人)にセットアッパーの
増田達至(西武)、
福山博之(楽天)らもいて、リリーバーも充実している。
首位打者4人が並ぶ打線

巨人・坂本勇人
外野には15年に216安打を放ってシーズン安打のプロ野球記録を更新、17年には首位打者に輝いた秋山翔吾、15年にトリプルスリーを達成して首位打者にもなった柳田悠岐に、DeNA外野陣のリーダーでもある梶谷隆幸と、左の好打者がズラリと並ぶ。
外野手では
福田秀平(ソフトバンク)、
上田剛史(
ヤクルト)も左打者で、右打者では
伊志嶺翔大(ロッテ)や
木村文紀(西武)、来日1年目にサイクル安打を達成した
ロサリオ(広島)がいる。
内野の要は16年の首位打者で、遊撃にいる坂本勇人。遊撃の座を譲ったのが二塁に回った堂上直倫だ。一塁には三塁も守れる福田永将を据えてみたが、同世代で
ビシエド(中日)が一塁手、
亀澤恭平(中日)が二塁手で、本職で一、二塁間を固めてもよさそうだ。
DeNAが初めてクライマックスシリーズに進出した16年に台頭、翌17年には首位打者に輝いて日本シリーズ進出の立役者となったのが三塁にいる宮崎敏郎。左の好打者が並んだ外野とは対照的に、内野は右の好打者による布陣となっている。
指名打者にはNPB初本塁打を本塁空過でフイにする前代未聞のデビューとなったマレーロを据えた。プロ野球通算10万号のメモリアルアーチを放つなど、来日1年目からインパクト抜群の助っ人だが、同僚の
ロメロ(オリックス)も同世代で、マレーロが一塁、ロメロが指名打者でもいい。
まさに投打に盤石。現役では最強の“黄金世代”は、すべての世代による対抗戦でも優勝候補の一角になってきそうだ。
写真=BBM