プロ野球史を彩ってきた数多くの名選手たち。生まれた世代ごとに週刊ベースボールONLIN編集部がベストナインを選定して、“史上最強世代”を追いかけてみる。 バッテリーは巨人から
1989年は、平成元年。平成のスタートは厳密に言えば前年の88年生まれ世代となるが、世代すべてが平成生まれとなったのは、この89年に生まれた世代が最初だ。
最大の特徴は、2017年にリーグ連覇を飾って“平成の黄金時代”とも言われる広島の主力が並んでいること。ここでも、2017年MVPの
丸佳浩が外野に、最高出塁率と盗塁王の
田中広輔が遊撃に、世界に誇る名二塁手の菊池涼介が二塁に、三塁だけでなく一塁もこなす
安部友裕が一塁にいる。丸と菊池は5年連続でゴールデン・グラブに選ばれており、ここでも攻守で中心的な存在となりそうだ。
【1989年生まれのベストナイン】(1989年4月2日~90年4月1日生まれ)
投手
菅野智之(
巨人)
捕手
小林誠司(巨人)
一塁手 安部友裕(広島)
二塁手 菊池涼介(広島)
三塁手
鈴木大地(
ロッテ)
遊撃手 田中広輔(広島)
外野手 丸佳浩(広島)
中村晃(
ソフトバンク)
岡島豪郎(
楽天)
指名打者
中田翔(
日本ハム)
安部と誕生日まで同じなのが、16年に16勝で最多勝に輝いて25年ぶりのリーグ優勝に貢献した右腕の
野村祐輔(広島)。ただ、エースの座は最優秀防御率3度、最多勝と最多奪三振は1度ずつの菅野智之に譲ることになりそうだ。
捕手は
伊藤光(
オリックス)もいるが、巨人で先発を担った
高木勇人(
西武)やリリーバーには変則右腕の
田原誠次(巨人)も同世代のため、巨人で正捕手を務める小林誠司を司令塔に据えた。16年のWBCでのラッキーボーイ的な活躍も印象に残る小林と、オリックスの本塁を死守する伊藤の二枚看板で、司令塔に不安はない。
先発タイプでは高卒1年目から先発として投げ続けている
唐川侑己(ロッテ)も同世代。若手時代は剛速球で鳴らし、長い故障離脱を経て復活を遂げた
由規(
ヤクルト)や、好打も光る
ウィーランド(
DeNA)もいて、右腕だらけの先発ローテーションとなりそうだ。
リリーフ陣には17年の日本一をセットアッパーとして支えた右腕の
岩嵜翔(ソフトバンク)、左腕の
嘉弥真新也(ソフトバンク)が並ぶ。左のセットアッパーでは
武隈祥太(西武)や
田中健二朗(DeNA)、右腕ではクローザーもこなせる
田島慎二(
中日)や
益田直也(ロッテ)もいるが、絶対的クローザーは不在。試合の終盤には、やや不安が残りそうだ。
幕張のチームリーダーに北の大砲も

日本ハム・中田翔
真っ赤に染まりそうな内野陣に食い込んだのが三塁にいる鈴木大地だ。二塁でゴールデン・グラブに選ばれたが、18年からは本職の三塁へ復帰。ここでもホットコーナーを担う。
一塁でゴールデン・グラブを経験しながら、広島勢が並んだこともあって指名打者に回ったのが中田翔。2度の打点王、ヒットメーカーが並ぶ打線では貴重な長距離砲でもある。内野手では
中井大介(巨人)に11年の盗塁王となった
藤村大介(巨人)も同世代だ。
丸と外野陣を形成するのが、同じくヒットメーカーの中村晃。残る1人には18年から楽天の選手会長を務める岡島豪郎を据えたが、打線に長打力を補っていくなら、ここはチームメートの
島内宏明(楽天)でもいい。
先発投手陣が右に偏っている一方で、打線は左打者が多く、右打者は菊池、中田、小林のみ。ただ、極端に偏っているわけではなく、投手陣もリリーバーでは左腕の層は厚い。戦力の随所にスキこそあれ、勢いは抜群。ファンを沸かせる野球を見せてくれそうだ。
写真=BBM