プロ野球史を彩ってきた数多くの名選手たち。生まれた世代ごとに週刊ベースボールONLIN編集部がベストナインを選定して、“史上最強世代”を追いかけてみる。 投打に分厚い“大谷世代”

エンゼルス・大谷翔平(写真=Getty Images)
いわゆるバブル崩壊で、地価の下落率が最大となった1993年。この年に生まれたプロ野球選手で、2017年までにタイトルホルダー、表彰選手となっているのは
高山俊のみ。続く94年に生まれた世代からは、18年からエンゼルスで“二刀流”を貫いている大谷翔平がMVPに。95年からの“U-23世代”からは、まだタイトルホルダーは出ていない。
バブル崩壊後に「失われた10年」と言われた時期に少年時代を過ごし、やがて「ゆとり」と揶揄された世代だが、景気のどん底からプロの大舞台まで上り詰めた男たちだ。不景気を意味する英語の“depression”は「憂鬱」という意味も持つ。将来のプロ野球界を担うだけでなく、ファンの憂さを晴らして景気回復にも寄与してくれそうな若手ばかりだ。
【1993~99年生まれのベストナイン】(1993年4月2日~2000年4月1日生まれ)
投手
藤浪晋太郎(
阪神)
捕手
田村龍弘(
ロッテ)
一塁手
大山悠輔(阪神)
二塁手
大城滉二(
オリックス)
三塁手
高橋周平(
中日)
遊撃手
京田陽太(中日)
外野手
鈴木誠也(
広島)
桑原将志(
DeNA)
高山俊(阪神)
指名打者 大谷翔平(
日本ハム)
15年の奪三振王となった藤浪晋太郎(94年度。数字は以下同)がいるため、大谷は指名打者に。右腕では15年に10勝でブレークした中日の
若松駿太(95)や17年に12勝で広島の連覇に貢献した
岡田明丈(93)、左腕では
巨人で2年連続2ケタ勝利の
田口麗斗(95)に、DeNAから
今永昇太(93)、
砂田毅樹(95)、
濱口遥大(95)。
楽天の
松井裕樹(95)が唯一のクローザーだ。
司令塔はベストナイン経験者の田村龍弘(94)。指名打者としても機能しそうな日本ハムの
近藤健介(93)や
西武の
森友哉(95)、オリックスで正捕手を狙う
若月健矢(95)も控えている。
若くして盤石の外野陣

広島・鈴木誠也
内野手は遊撃に選手が集中している。いずれもチームで不動のレギュラーに届いていないが、一塁は大山悠輔(94)、二塁は大城滉二(93)、三塁は高橋周平(93)が、ほぼ独占している状態。遊撃には17年に新人王となった京田陽太(94)を据えたが、パ・リーグには楽天の
茂木栄五郎(93)に日本ハムの
石井一成(94)、セ・リーグには阪神の
北條史也(94)に広島の
西川龍馬(94)もいる。
外野は盤石だ。ベストナインには“神ってる”鈴木誠也(94)、堅守も持ち味の桑原将志(93)、そして16年に新人王となった高山(93)を据えたが、レギュラーとして17年に
ソフトバンクの日本一を支えた
上林誠知(95)や、抜群の身体能力を誇る楽天の
オコエ瑠偉(97)など多士済々。まだ目立った選手が出てきていない世代にはポストシーズンで活躍したDeNAの
細川成也(98)がいる。
もちろん、大谷が先発マウンドに上がる場面もあるだろう。空席となった指名打者には、史上初の4割打者に挑む近藤でもいいし、大谷と入れ替わるように日本ハムへ入団し、
原辰徳(巨人)らが持っていたドラフト制後の新人連続試合安打記録をプロ初本塁打で塗り替えた
清宮幸太郎(99)でもおもしろい。
93年に生まれた選手は、18年で四半世紀となる25歳にようやく届く。ここで名前が挙がっていない選手にも可能性はあり、ベストナインの顔ぶれも間違いなく変わってくるだろう。世代別の対抗戦より、これからの彼らの活躍に夢がふくらむ。
写真=BBM