
一軍再昇格が待たれる堀。写真は昨年9月29日の楽天戦でのプロ初先発からの1枚
アーチを連発して話題をさらっている
清宮幸太郎だけでなく、
日本ハムのファームに一軍再昇格が待望されるホープがいる。
堀瑞輝、20歳。プロ2年目のサウスポーだ。
6月15日にイースタン、ウエスタン両リーグが制定する5月度の「スカパー!ファーム月間MVP賞」を初受賞。「1日でも早く一軍の舞台で登板し、勝利に貢献できるよう、ファームでの1試合1試合を大切にしていきたいと思います」とさらなる飛躍を誓い、
栗山英樹監督も熱視線を送り続けている逸材だ。
5月は二軍で4試合に登板し、3勝1敗0セーブ、23回2/3、27奪三振、防御率2.28。5月31日の
西武戦では6回2/3を0点に抑える圧巻のピッチングを見せ、リーグトップタイの3勝をマーク。満を持して一軍に昇格したが、すぐに左足首のケガで登録抹消。調子もよかっただけに、チームにとっても、また本人にとっても痛すぎるアクシデントだった。
それでもその才能に疑いの余地はない。遡れば2月のアリゾナキャンプで記者や関係者の間で、連日のように聞かれたのは「今年は堀瑞輝がいい」という声だった。ストレートのスピードは140キロ中盤だが、ムチのようにしなる腕の振りからのボールは打者の手元で伸びる。侍ジャパンの
稲葉篤紀監督もその才能を早くから高く評価。昨年11月のアジアチャンピオンシップ(U-24)だけでなく、さらにフル代表に近いメンバーで臨んだ開幕前のオーストラリアとの強化試合でも最年少で異例の抜てき。その期待の高さがうかがえる選出だった。
現在の一軍の先発ローテーションで左腕は
加藤貴之のみ。毎年のように左腕不足が日本ハムのウイークポイントでもあり、堀の台頭はチームの希望でもある。
絶対王者と目されていた
ソフトバンクがケガ人続出でBクラスに低迷、さらには首位の西武もブルペン陣の弱さを露呈し、優勝争いは大混戦の様相を呈してきた今年のパ・リーグ。その中で先発陣にも疲れが見え始める勝負の夏場に逆転Vの秘密兵器として、堀がキーマンになりそうな気もしている。
清宮とともにファームで静かに牙を研ぐ「未完の大器」が、一軍で本格覚醒する日はそう遠い未来ではない。
文=松井進作 写真=BBM