
“13番目の男”であるロッテ・藤岡(左)、オリックス・黒木。交流戦はドラフト戦略にも影響を及ぼすとも言える
6月21日の
阪神対オリックス(甲子園)で交流戦の全日程が終了。結果は、59勝48敗1分で、パ・リーグが9年連続で勝ち越した。勝率第1位にはセの
ヤクルトが輝いた一方で、勝ち越しリーグのパ6球団にも賞金が分配されるなど、“リーグ対抗戦”の意味合い色濃いが、約4カ月後、さらには来季も大きな影響を与えることを、この時期に報じられることは少ない。
ドラフトのウエーバー制である。現18試合制になった2015年から、交流戦での勝ち越しリーグから2位指名のウエーバーがスタート(以前はオールスターでの勝ち越しリーグから)。つまり、今年のドラフトのウエーバー順は、パ6位→セ6位→パ5位→セ5位……となる。
有望選手、あるいは将来性あるスター候補が上位から次々に指名されるドラフト。むろん、優先的に指名できることに越したことはない。となれば、重複覚悟の強攻1位指名も視野に入ることもあるだろう。
現に12球団で最初に2位指名された、つまり“13番目の男”が躍動している。16年にパ・最下位だったオリックスは立正大の
黒木優太を指名し、17年にパ・最下位に沈んだロッテはトヨタ自動車の
藤岡裕大を獲得。2人とも、即戦力として1年目から一軍が主戦場に。ドラフト戦略どおり、“戦力”として結果を残している。
来季以降を見据えた戦力戦線にも大きく影響を与える交流戦。近年、抽選ではパ球団が引き当てるケースも多く“強運”とも言われるが、2位以降を優先的に指名できるのも、戦力を整える面では有利なのは言うまでもない。
“パ優勢”が続く交流戦。賞金に加えて、ドラフトのウエーバー権も得て、来季の戦力面でも、早くも“優性”に立ったと言えるのかもしれない。
文=鶴田成秀 写真=BBM