プロ野球の歴史を彩った伝説のプレーヤーの打撃フォーム、投球フォームを連続写真とともに紹介。今回は黄金時代の右腕エース、西武の渡辺久信だ。 体幹主導で行われている動作

西武・渡辺久信の連続写真1

西武・渡辺久信の連続写真2

西武・渡辺久信の連続写真3

西武・渡辺久信の連続写真4

西武・渡辺久信の連続写真5

西武・渡辺久信の連続写真6

西武・渡辺久信の連続写真7

西武・渡辺久信の連続写真8

西武・渡辺久信の連続写真9

西武・渡辺久信の連続写真10
あの
工藤公康(現
ソフトバンク監督)が「俺にナベの体があればね」と、うらやましそうに話していたことがある。
卓越した身体能力で快速球を繰り出した本格派右腕。“ナベQ”と呼ばれ、絶大な女性人気を誇った。実力も本物。1986年に16勝、88年には15勝、90年は自己最多の18勝で3度の最多勝に輝き、西武黄金時代を右のエースとしてけん引した。96年には、6月11日
オリックス戦(西武)でノーヒットノーランを記録している。
そのフォームはひと言でいえば「カッコいい」。上げるところでビシッと上げ、ためるところではグ~ッとためる。フォームのメリハリが美しさを呼んでいる。このようにフォームがきれいに見えたり、美しく見えたりするのは、それが理にかなっているからだ。
左腕を前方に突き出す姿勢も印象的。グラブをターゲットである打者に合わせるように突き出すことで、見ている側に躍動感を感じさせる。
そして、最大の特徴が右腕の使い方だ。一度真下に下ろしてからムチのように腕を振り、快速球を生み出しているが、下半身、体幹が連動していることで一切の力みがなく、最後の瞬間で腕(指先)が加速している。
トップの位置も完璧。右腕を下ろした後は、下半身主導でステップし、体の軸を回転させてやるだけで、自然にトップの位置を通過してリリースへつながっていく。本人も「腕の動きは意識していない。体の動きに連動させているだけ」と言うが、この体の使い方であれば、右腕に力みが加わることもなく、とても理想的だ。
このように体幹主導で動作が行われているため、枝である両腕にリ
ラックス感が生まれ、美しさが際立っている。
●渡辺久信(わたなべ・ひさのぶ)
1965年8月2日生まれ。群馬県出身。右投右打。[主なタイトル]最多勝利3回、最多奪三振1回[通算成績]389試合、125勝110敗27セーブ、防御率3.67。
写真=BBM