80年を超えるプロ野球の歴史は、それぞれの球団、それぞれの監督や選手たちが紡いできたものだ。1人1チームを原則に、名将、名選手たちが時空を超えて集結。オールタイムの“優勝チーム”を探してみよう。 V戦士と14年間の功労者
2004年の球界再編で近鉄が消滅した一方で、新たに誕生した東北楽天ゴールデンイーグルス。分配ドラフトなどで近鉄に所属していた選手たちが中心となった51年ぶりの新球団だが、1年目の05年はダントツの最下位。その後も低迷が続いた。
野村克也監督4年目の09年に初のクライマックスシリーズ進出。星野仙一監督3年目、チーム9年目の13年に初優勝、日本一に。迎えた18年で14年目となる若いチームで、ここでも14年間のベストオーダーとなるが、まだ歴史は浅いながら、すでに多くのドラマを描いている。
率いるのは“闘将”星野監督。楽天で唯一の優勝、日本一監督でもあり、
中日や
阪神を優勝に導いてきた星野監督にとっても唯一、日本一を経験したチームだった。
【ベストオーダー】
監督・星野仙一
一(遊)
渡辺直人 二(二)
藤田一也 三(左)
鉄平 四(指)
アンドリュー・ジョーンズ 五(一)
銀次 六(三)
ウィーラー 七(右)
岡島豪郎 八(捕)
嶋基宏 九(中)
聖澤諒 投手
田中将大 13年のV戦士たちに現役選手が混在するラインアップとなった。リードオフマンは現役の
茂木栄五郎でもいいが、18年に復帰した渡辺直人を選んだ。現在は
西武にいる
松井稼頭央に代わって遊撃に入る。07年に初の最下位脱出に貢献した功労者で、当時と同じ一番・遊撃となった。
日本一イヤーと同じ二番・二塁で続くのが現役屈指の守備職人でもある藤田一也。三番には、初代の選手会長、主将で、チーム第1号本塁打も放った
礒部公一もいるが、ここでは09年に首位打者となって初のCS進出に導いた鉄平を据えた。
四番・指名打者では楽天へ移籍して完全復活を遂げた
山崎武司もいいが、やはりV戦士の
ジョーンズだろう。ともに助っ人として日本一に貢献した三塁手の
マギーは
巨人の現役選手でもあり、その穴は現役のウィーラーが埋める。打順は五番でもいいが、その五番には17年の五番打者だった銀次を置き、新旧の長距離砲に挟む形に。
七番も現役からで、13年は一番打者が多かった岡島豪郎。右翼が多い岡島の存在で、外野ならどこでもこなした鉄平が左翼に。完全なレギュラーではなかったが、現役の
枡田慎太郎、
島内宏明も外野のV戦士だ。そんな外野陣にあって、圧倒的な堅守を誇るのが聖澤諒。ここでは九番打者として打線をつないでいく。
そして、不動の司令塔は嶋基宏。日本一イヤーの正捕手でもあり、楽天の歴史を象徴する1人だ。
右腕エースの系譜

楽天・田中将大
現在はヤンキースで活躍している田中将大が不動のエース。13年の24連勝は楽天の歴史で最大のドラマだ。
その13年に新人王となったのが現在のエースでもある
則本昂大。日本シリーズMVPの
美馬学は17年に初の2ケタ11勝を挙げた。日本一に貢献した右腕の先発三本柱に、初代エースの
岩隈久志、現役のベテランでもある
岸孝之が加わる右腕ばかりの先発陣をクローザーとしてフォローするのが現役で左腕の
松井裕樹。左腕では先発でも救援でも計算できる
川井貴志もいる。
80年以上の歴史を誇るチームに比べると、層の薄さは否めない。とはいえ、創設期の低迷が再現される心配はなさそうだ。それどころか、絶対的エースのいる投手陣に、いぶし銀も多い打線で、13年の再現を狙っていく。
写真=BBM