いよいよ第100回の大きな節目を迎える夏の甲子園。その歴史にこそ届かないが、80年を超えるプロ野球を彩ってきた選手たちによる出身地別のドリームチームを編成してみた。優勝旗が翻るのは、どの都道府県か……? 名球界の好打者がズラリ
浪商高(大体大浪商高)やPL学園高、大阪桐蔭高など甲子園を沸かせた強豪校がひしめく大阪府だが、出身プロ野球選手を並べると、その強さが分かってくる。投打とも戦力の質、量ともに歴然。投手陣はスターター、リリーバーともに多彩で盤石、打線も破壊力に機動力を兼ね備え、さらに堅守も誇る。メジャーで活躍した選手が多いのも特徴で、ここで選んだ9選手の次に控える9選手でも優勝候補になりそうだ。
【大阪ドリームチーム】
一(中)
福本豊(阪急)
二(遊)
松井稼頭央(西武)★
三(二)
立浪和義(
中日)
四(一)清原和博(西武ほか)
五(左)
土井正博(近鉄ほか)
六(三)
中村紀洋(近鉄ほか)
七(右)
新井宏昌(近鉄ほか)
八(捕)
矢野燿大(
阪神ほか)
九(投)
野茂英雄(近鉄)
(★は現役)
一番から七番まで、通算2000安打に到達した好打者が並ぶ。リードオフマンは“世界の盗塁王”福本豊で、現役の松井稼頭央が二番で続く。
三、四番は立浪和義、清原和博のPL学園高コンビで、守っても一、二塁間でコンビを組む。五番から七番までは地元の近鉄を引っ張った長距離砲の土井正博と中村紀洋に、安打製造機の新井宏昌。土井と新井は福本の両翼を固め、守備にも定評があった中村紀は定位置の三塁に入り、若手時代に遊撃を守っていた松井との三遊間だ。
福本の一番は不動だが、その後の打順は多少の前後も可能。松井が唯一の現役だが、メジャー経験もある内野手の
西岡剛(阪神)を皮切りに、内野手の
浅村栄斗(西武)、外野手のT-岡田(
オリックス)に
平田良介(中日)ら現役にも好打者ばかり。三塁の座をうかがうのは同じ長距離砲で同姓の
中村剛也(西武)だろう。
三塁に名選手が集中するのも特徴で、古くは“100万ドルの内野陣”の
蔭山和夫(南海)。外野から三塁に転向して成功した
高田繁(
巨人)、三塁を中心に内野すべてと外野をこなした
元木大介(巨人)、遊撃と三塁でゴールデン・グラブを獲得した
宮本慎也(
ヤクルト)らは他のポジションでも計算できる。
プロでは二塁手だった強打者の
岡田彰布(阪神)も大学時代までは三塁手。二塁に入っている立浪も三塁手としてもゴールデン・グラブに輝いている。
外野の控えにも“大明神”
坂崎一彦や、首位打者を争った
田尾安志(中日ほか)と
長崎啓二(慶一。大洋ほか)、スイッチヒッター最高打率で首位打者となった
金城龍彦(横浜ほか)、攻守走のそろった
谷佳知(オリックスほか)ら好打者が並んだ。
司令塔は
木戸克彦(阪神)と矢野燿大(輝弘)の阪神Vイヤーを支えた正捕手の二枚看板。その座に迫るのが現役の
小林誠司(巨人)だ。
投手陣はメジャー・リーガーで

ドジャース・野茂英雄
投手陣はメジャー・リーガーで先発ローテーションが組める。エースには“パイオニア”の野茂英雄を据えたが、ヤンキースなどで活躍した
黒田博樹(
広島)、インディアンスで長くプレーした現役の
村田透(
日本ハム)、同じく現役では2018年に復帰した
上原浩治(巨人)、現役メジャー・リーガーの
ダルビッシュ有(日本ハム。現カブス)と
前田健太(広島。現ドジャース)が並び、スター性では最強だ。
メジャーでは結果を残せなかったが、
桑田真澄(巨人)が投手陣のリーダー格だろうか。古くは“怪童”
尾崎行雄(東映)や巨人キラーでサブマリンの
足立光宏(阪急)、貴重な左腕では
今中慎二(中日)、現役では
藤浪晋太郎(阪神)が大阪出身だ。
優勝候補の筆頭には違いないが、スター選手が多すぎて大味な印象がないわけでもない。控えにいる野球巧者たちのバックアップで緻密さを補えば、黄金時代も夢ではないだろう。
写真=BBM