いよいよ第100回の大きな節目を迎える夏の甲子園。その歴史にこそ届かないが、80年を超えるプロ野球を彩ってきた選手たちによる出身地別のドリームチームを編成してみた。優勝旗が翻るのは、どの都道府県か……? 最強の捕手との夢のバッテリー
古都として長い歴史を誇る京都府。今や国内、海外を問わず、多くの旅人が訪れる屈指の観光地だ。京都府に本拠地を置くプロ野球チームはなく、文化や歴史のイメージが強すぎることもあって、どうしても反比例的に野球の存在は薄まってしまうが、草創期から公式戦が開催されるなど、プロ野球との関わりも古く、伝説のエースで三重県出身の
沢村栄治(
巨人)は京都商(現在の京都学園高)でプレーしていた。京都商からは同様に三重県出身の
中尾碩志(輝三)も出ている。
【京都ドリームチーム】
一(遊)
吉田義男(
阪神)
二(左)
金田正泰(阪神)
三(三)
片岡篤史(
日本ハムほか)
四(捕)野村克也(南海ほか)
五(一)
衣笠祥雄(
広島)
六(右)
糸井嘉男(阪神)★
七(二)
岡本伊三美(南海)
八(中)
赤松真人(広島)★
九(投)
斉藤和巳(
ソフトバンク)
(★は現役)
捕手では
中村武志(
中日ほか)や現役の
炭谷銀仁朗(
西武)もいるが、司令塔の座を譲る気配がないのが野村克也。戦後初の三冠王となった打棒と圧倒的な捕手術で、攻守の要として不動の存在感を放つ。
沢村と野村のバッテリーが実現したら最強だが、ここでは斉藤和巳との“新旧ホークス”バッテリーに。野村が“新”となるが、戦時下のエースで、肺結核のため21歳で亡くなった
神田武夫(南海)との“新旧ホークス”バッテリーもいい。
先発は神田と斉藤との二枚看板に、現役の
吉見一起(中日)で右の先発三本柱。同じく現役の
内海哲也(巨人)と
大野雄大(中日)は貴重な左腕だ。野村監督の“ID野球”で鮮烈な輝きを放った
伊藤智仁(
ヤクルト)との“師弟”バッテリーも見てみたい。
長くメジャーで活躍した
大家友和(横浜)や2ケタ勝利7度の清水直之(
ロッテほか)もいて、スターターは多彩だ。
先発でも救援でも計算できるのが
斉藤明夫(明雄。大洋)と
岡島秀樹(巨人ほか)。貴重なセットアッパーは
清川栄治(広島ほか)だ。
クローザーでは2018年からダイヤモンドバックスでプレーしている
平野佳寿(
オリックス)がいて、斉藤と岡島との“救援三本柱”でもいい。
好守好打の強力打線

広島・衣笠祥雄
野村に続く五番は“鉄人”衣笠祥雄。一塁と三塁が多かったが、ここでは一塁に入った。一、二塁間を組むのは巧打者で堅守も誇った岡本伊三美。遊撃にいるのが歴代屈指の名手でもある吉田義男だ。
野村も阪神の監督を経験したが、大阪府や兵庫県より阪神カラーが強いのも京都府の特徴。堅実さと勝負強さを兼ね備えた好打者で、三番打者として三塁に入った片岡篤史も阪神で2度の優勝に貢献した。二塁手の
田中浩康(
DeNA)、三塁手の
今江年晶(敏晃。
楽天)も控え、内野は盤石だ。
外野の両翼も阪神から、レジェンドと現役の好打者。左翼が“ダイナマイト打線”の金田正泰で、ここでも55年に多かった吉田との一、二番コンビに。右翼が現役の糸井嘉男で、ここでは六番に据えたが、三番打者として吉田からの“タテジマ打線”でもいいだろう。
外野手では
桧山進次郎(阪神)もいて、外野もタテジマに染め上げることもできるが、ここでは“代打の神様”として控えに温存。現役の“スパイダーマン”赤松真人を外野の中心に置けば、岡本と吉田の二遊間からのセンターラインも最強クラスの堅守となる。
名将でもある野村だが、監督としての初優勝は南海の“死んだふり”優勝。ここでもダークホースから一気に頂点へ駆け上がりたい。
写真=BBM