2018年シーズンの補強期限が7月31日で終了した。上位進出のために各球団は新外国人、トレードなどで弱点をカバーする戦力を積極補強。ここではパ・リーグ6球団の2月1日、キャンプイン以降の“新戦力”を整理してみた。 埼玉西武ライオンズ
【トレード】
榎田大樹投手
小川龍哉投手
【新外国人】
ヒース投手
マーティン投手
チームにとって“救世主”となったのが榎田大樹だ。先発左腕不足を解消するために3月中旬、
岡本洋介との交換トレードで
阪神から移籍。すると巧みな投球術、フィールディングなど高い総合力をマウンド上で発揮した。確実に試合を作るピッチングを披露し、ここまで7勝を挙げ、チームが開幕から首位を走る原動力となっている。弱点の投手力、特に中継ぎ陣に破綻をきたしていたため、5月上旬に独立リーグから
広島にも在籍していたヒース、7月下旬には
中日から金銭トレードで左腕・
小川龍也をチームに加入させ、さらに、7月26日には元レッドソックスの右腕・マーティンの獲得を発表。現在、確固たる守護神不在のため、マーティンがそこを埋める存在となれるか。10年ぶりの優勝へ、200センチの長身右腕にかかる期待は大きい。
北海道日本ハムファイターズ
【トレード】
藤岡貴裕投手
逆転Vに向け、日本ハムらしい衝撃度の高いトレードを敢行した。
岡大海と
ロッテの藤岡貴裕の交換トレードが7月26日に電撃的に成立。外野のレギュラー候補の1人であった岡の放出には賛否の声もあるが、チームとしては新たな左腕投手の台頭、獲得は近年の課題の1つであっただけに、藤岡が投手陣の起爆剤的な存在になりそうだ。昨年は不振で10試合登板、今シーズンも二軍調整が続いていたが、2012年のドラフト1位と潜在能力は誰もが認める素材。「新たな環境で結果を出して、チームの勝利に貢献したい」。先発、中継ぎでフル回転の活躍が期待される左腕。2年ぶりの覇権奪回の使者となれるか。
福岡ソフトバンクホークス
【トレード】
市川友也捕手
美間優槻内野手
松田遼馬投手
【新外国人】
Y.
グラシアル内野手
A.ミランダ投手
【支配下昇格】
堀内汰門捕手
大竹耕太郎投手
故障者が相次いだ捕手陣の補強を開幕前後から行ったが、期限ギリギリにも交換トレード2件に、新外国人、支配下登録と駆け込み補強を敢行。美間優槻以外の3選手は投手で、しかも支配下登録されたばかりのルーキー左腕・大竹耕太郎をさっそく8月1日の西武戦(メットライフ)の先発に大抜てきするなど、厳しい台所状況が浮き彫りだ。とはいえ、大竹はここまで制球力抜群のストレートと緩急を武器に二軍で8勝(0敗)、防御率1.87と結果を残しており、「かしこまることなく、背伸びすることなく投げたい」と一軍初登板初先発にも気負いはない。昨季も
石川柊太や
松本裕樹、
モイネロら新戦力がチームのピンチを救ってきただけに、背番号「10」の救世主誕生にかかる期待は大きい。
千葉ロッテマリーンズ
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ロッテ・岡大海
【トレード】
岡大海外野手
【新外国人/テスト入団】
ペゲーロ外野手(退団)
【テスト入団】
大隣憲司投手
李杜軒内野手
藤岡貴裕を放出して岡大海を迎える日本ハムとの交換トレードは的確だった。攻守走を兼備した右の外野手は長期離脱した
荻野貴司の穴を埋めるのに打ってつけの存在で、入団会見を行った翌日、7月29日の西武戦(ZOZOマリン)でさっそく「七番・中堅」としてスタメンに名を連ねた。だが補強戦略全体には疑問が残る。春季キャンプでテスト入団した大隣憲司、李杜軒、ペゲーロは補助戦力にもなり得ておらず、シーズン中に
大嶺翔太が引退、ペゲーロは退団と出ていく一方。支配下選手は12球団最少の65人だ。チーム打率に比して得点数、本塁打数は少なく、得点源となる大砲はいまだに明確な補強ポイント。質量両面から見て、本気で上位進出を狙うなら
村田修一(BCL/栃木)獲得などは現実的な策であったはずだが……。
オリックス・バファローズ
【トレード】
高城俊人捕手
白崎浩之内野手
【新加入】
岩本輝投手
【新外国人】
ローチ投手
【支配下昇格】
榊原翼投手
佐野皓大外野手
開幕直前に高卒2年目の榊原翼を支配下登録。投手陣に厚みを持たせてシーズンに入ったが、打線の調子が上がらず、救援陣、特に勝ち継投の投手たちに負担が増すと、7月に入り元阪神で、独立リーグでプレーしていた岩本輝を緊急補強。さらに新助っ人としてローチを獲得。いずれもすでに一軍で登板し、投手陣の負担を軽減させている。一方の野手は
伊藤光、
赤間謙との交換トレードで
DeNAから白崎浩之、高城俊人が加入。小谷野、中島の両ベテランの故障離脱もあり、白崎はすでに三塁で先発出場するなど早くも戦力に。さらに7月31日、佐野皓大を支配下に昇格させ、外野手登録とした。チームは8月を前に大型連敗を喫しているが、“新戦力”は機能するか。
東北楽天ゴールデンイーグルス
【支配下昇格】
久保裕也投手
石橋良太投手
昨オフに育成降格となっていた右腕2人が、支配下に返り咲いた。久保裕也は5月5日に支配下登録されると、ここまで12試合に登板。中継ぎとして復活の1勝を挙げるなど、防御率2.57の安定感でブルペンを支えている。また、7月27日には石橋良太が登録された。今季はファームで18試合に登板して防御率2.52と復調の気配を見せている。2017年は一軍登板がなかっただけに、まずは2年ぶりの一軍マウンドを目指す。
写真=BBM