
高校時代の最速は140キロに届かなかった
夏の甲子園では高校球児たちによる熱戦が繰り広げられている。現役のプロ野球選手にとっても、高校最後の夏は忘れられないものだろう。
ヤクルト・
石山泰稚に甲子園のヒーローを挙げてもらったところ「あの2人でしょうね」との回答。それが
田中将大(駒大苫小牧高、現ヤンキース)と
斎藤佑樹(早実、現
日本ハム)だった。
石山は1988年生まれのいわゆる「マー君&佑ちゃん世代」。自身が所属した金足農高(秋田)は2006年夏の県準々決勝で秋田高に0対2で敗れ、甲子園出場はならず。両右腕が投げ合った甲子園決勝はテレビで観戦していたという。
「(地元・秋田の)涼しいところで、アイスでも食べていたと思うんですけど、あの熱戦はすごかったのを覚えています」。どちらを応援するというわけでもなく、平等に見ていたという。「すごい人たちだな。甲子園のレベルってすごいんだな、と。(球速が)150キロくらい出ていたじゃないですか」。石山自身はどんなに腕を振っても、高校時代の最速は139キロだった。「どんだけ出すの、という感じで見ていました」。
この夏の100回大会に出場中の母校・金足農高には、今大会No.1投手の呼び声が高い本格派右腕・
吉田輝星がいる。ストレートの最速は150キロの逸材だ。「あれだけのストレートが投げられる。素晴らしい投手だと思う」と、石山は後輩を絶賛。自身は東北福祉大、社会人のヤマハを経て投手として成長していったが、その石山から見て、現時点での吉田の能力はまばゆいものなのだろう。「全力投球、ストレートをもっと見たい」とエールを送る。1回戦で14個、2回戦で13個の三振を奪った吉田を擁する金足農高。8月17日の3回戦では、神奈川の雄・横浜高と激突する。
文=富田 庸 写真=BBM