
金足農・吉田は8月28日、「侍ジャパンキッズアカデミー」に参加。子どもたちとの触れ合いを通じ、野球ができる感謝を再認識したようだ
吉田人気は、とどまるところを知らない。
8月28日、高校日本代表は大学日本代表との壮行試合を前に、小学1年生から3年生までを対象とした「侍ジャパンキッズアカデミー」(野球教室)を行った。
教室の前には講師となる高校日本代表メンバーと参加者が、神宮球場ネット裏2階席でランチ。子どもたちにとっては、夢のひとときとなった。
甲子園準優勝以来、フィーバーが続く金足農・
吉田輝星の隣で食事をしたという小学校3年生女児の父兄は、興奮を隠し切れない。
「春夏連覇を遂げた大阪桐蔭の根尾選手や藤原選手のすごさを説明したんですが、娘は『吉田君!!』押しでした。妻もものすごい吉田選手のファンなんです。家でも大変ですよ……(苦笑)」
本人よりも、むしろ、親のほうがヒートアップしている様子だった。野球教室中も各メディアのカメラは吉田へと向けられ、注目度はNO.1。吉田は投球練習のメニューで行われたストラックアウトで「2枚抜き」を披露するなど、甲子園準優勝投手の貫録。束の間のリラックスした時間を過ごした様子だった。
なお、この壮行試合のチケットは試合4日前に「完売」という異例の事態となった。関係者は「メンバーが発表(21日)されてから、一気に問い合わせが増えました」と明かし、吉田人気であることを認めた。舞台は神宮。「佑ちゃんと、同じ空気を感じます」と、かつて早大に在籍時、“
斎藤佑樹フィーバー”と立ち会った関係者は言葉をつないでいる。
今夏の甲子園で投じた吉田の881球は、多くの世代から支持を受け、勇気を与えた。
トップチームの
稲葉篤紀監督が試合前に激励に訪れ、吉田について言及している。
「甲子園であれだけ投げて、すごいと思う。日の丸を着けても、しっかり頑張ってもらいたい」
吉田は8月26日の記者会見で「今までの努力がやっと、報われた」と、日の丸のユニフォームを初めて着た感想を素直に語った。「侍ジャパンキッズアカデミー」に参加した子どもたちとの触れ合いを通じて、野球ができる感謝を再認識したようだ。
投手分業制が叫ばれる中でも、秋田大会、甲子園を通じて連投に次ぐ連投。公立校をけん引する姿に「昭和のエース」とも言われた吉田。真っ向勝負、そして純粋な思いを、白球へぶつける。それが、吉田が野球ファンだけでなく、多くの人を惹きつける魅力だ。
文=岡本朋祐 写真=高原由佳