今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 ワニのリリーはいま剥製に
今回は『1963年12月16日号』。定価は40円だ。
後楽園を本拠地にしていた国鉄が新本拠地にすると発表し、改装工事をしていた神宮第二球場だが、急転直下、学生専用となることが決まった。
これは法律上の制約がクリアできず、せいぜい1万6900人の収容の球場建設がやっと判明したためだ。旧第二球場の取り壊し、新第二の建設に産経新聞などが出資した費用は、神宮側が10年かけて返済するという。
この際、国鉄は東映が優先的に使用していた神宮第一球場の使用許可を申請。学生野球連盟はこれを了承した。
新人絡みでは、「西川問題」が勃発している。関大の1年生エース、
西川克弘が
広島と父親のサインで契約も、西川の母親が「自分はサインしていない」と契約の無効を主張し、裁判所に訴えたというものだ。
西川は、関大から秋季リーグ戦に契約を結んだことをとがめられ、除名処分。関西六大学連盟では関大の秋季リーグ優勝を取り消す方向で検討を始めた。
この件はまた続報を。
12月1日、1962年優勝の功労者、
阪神・
青田昇コーチが打撃不振の責任をとって退任。ストーブリーグが何やら賑やかになり始めた。
1つ、たわいもない小話も書いておこう。
「リリーちゃんと林監督」という記事だ。
国鉄の新監督・
林義一は自宅で1メートルほどのワニを飼っていた。
シンガポールから帰った友人からもらったもので、当初は体長30センチほど。専用の温室を作り、イワシをせっせと与えているうちに巨大化したらしい。
「のどのところをなでてやると、気持ちよさそうにグーグーいった」
と林監督は言ったが、ほんとか?
なお、このワニ、温室のヒーターの故障で凍死。いまは剥製となってピアノの上に飾られている。
名前はリリー。メスと思ってつけたようだが、実は最後まで性別は分からなかった。

勝利の旗
今週の2枚目。
映画「勝利の旗」の撮影風景。中央右が長嶋茂雄、左が
藤田元司。撮影好調、らしい。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM