
先発2番手に抜てきされるも、結果を残せず
プロ3年目にしてCSは初舞台となった。それでも、登板前日の10月13日には「特に変わるところはない。リ
ラックスして臨もうと思っている」と平常心を強調していた
ヤクルト・
原樹理。実際の試合では、注意していたという初回に
坂本勇人から空振り三振を奪うなどして、上々な立ち上がりかと思われた。
しかし、2回二死から
長野久義に本塁打を浴びると、自身の歯車が狂い出す。4回にはこの回の先頭打者、
マギーにソロ本塁打、二死一塁からは亀井に2点本塁打を許してしまう。この回の被弾はいずれも初球を痛打されてのものだった。両手をヒザにつき、うなだれた原。4回4点で無念の降板となった。
今季は開幕5連敗という波乱のスタート。それでも中継ぎに配置転換され、徐々に調子を取り戻していく。7月半ばに先発復帰を果たすと、8月以降は5勝2敗と上り調子の中で迎えたCSファーストステージだった。しかし、想像以上に厳しい舞台となってしまう。シーズン中には自身初の完封勝利を挙げるなど、
巨人は決して苦手な相手ではなかったはずだが……。
これとは対照的に、巨人の先発・
菅野智之は113球でCS史上初のノーヒットノーランを達成。同時に2位・ヤクルトの敗退が決まった。燕のエースを目指すならば、菅野のようにここ一番で実力を発揮できるようになる必要がある。0対4という数字以上に、相手エースとの実力差を痛感したはず。この貴重な経験を、来季以降のピッチングに生かせるか。
文=富田 庸 写真=BBM