今年は10月25日に行われるドラフト会議。毎年、金の卵たちが、どの球団へ進むか大きな注目を集める“一大イベント”で、さまざまなドラマも生まれる。今年で54年目を迎えるドラフト会議の歴史を週刊ベースボールONLINEでは振り返っていく。 個性派が各順位に散らばる

のち攻守でチームの中心となる中大─巨人の阿部
2000年11月17日
第36回ドラフト会議(新高輪プリンスホテル)
[1位選手(×は入団せず)]
近鉄
山本省吾 (慶大)
阪神 藤田太陽 (川崎製鉄千葉)
ロッテ 田中良平 (加賀高)
広島 横松寿一 (戸畑高)
オリックス 内海哲也 (敦賀気比高)×
ヤクルト 平本学 (立命大)
日本ハム 井場友和 (富士重工業)
横浜
内川聖一 (大分工高)
西武 大沼幸二 (プリンスホテル)
中日 中里篤史 (春日部共栄高)
ダイエー
山村路直 (九州共立大)
巨人
阿部慎之助(中央大)
1993、96年に続いて3度目の重複指名によるクジ引きがなかった「無風ドラフト」。注目の大学球界の好投手・山村路直、
山田秋親(立命大)はダイエーが両獲りしたが、いずれも故障に泣き、大成しなかった。
この年、久々の日本一となった巨人は、強肩強打の阿部慎之助を獲得した。
長嶋茂雄監督は、翌2001年限りで勇退しているが、育成に時間のかかる捕手のポジションで、阿部に翌年の開幕からスタメンマスクをかぶらせたのは、次期監督と見込んだ
原辰徳監督への「置き土産」の意図もあったのだろう。
会議がどよめいたのが、「巨人以外なら社会人」と語っていた左腕・内海哲也のオリックス強行指名。会見場での内海は穏やかな性格もあって、決して完全拒否の雰囲気ではなかったが、結局、東京ガスに進み、03年自由枠で巨人入団を果たすことになる。なお、巨人は8位で、内海とバッテリーを組んでいた強打の捕手・李景一を指名している。
この年の1位入団で“あと伸び”したのが、横浜の内川聖一だ。いまも
ソフトバンクで現役を続ける天才ヒットメーカーである。
2位には、ロッテ・
加藤康介(日大)、広島・
広瀬純(法大)、オリックス・
大久保勝信(松下電器)、日本ハム・
木元邦之(龍谷大)、西武・
三井浩二(新日鉄広畑)ら、地味ながらきっちり仕事をした選手が多く、3位には西武がパームボール左腕・
帆足和幸(九州三菱自動車)、巨人が1年目49試合に登板し、のち打者に転向した
三浦貴(東洋大)らの名前がある。
2、3位以上に豪華だったのが4位だ。阪神が天才盗塁王、レッドスター・
赤星憲広(JR東日本)、ロッテがサブマリン・
渡辺俊介(新日鉄君津)、ほかにも近鉄・
阿部真宏(法大)、ヤクルト・
坂元弥太郎(浦和学院高)、日本ハム・
中村隼人(本田技研)、西武・
佐藤友亮(慶大)、中日・
岡本真也(ヤマハ)ら個性派たちが並ぶ。
5位にも大物がいる。ヤクルトが15年の打点王・
畠山和洋(専大北上高)、西武が
松井稼頭央の後釜としてショートの定位置をつかんでブレークした
中島裕之(伊丹北高)、中日の
土谷鉄平(津久見高)は
楽天移籍後に「鉄平」としてブレークし、09年の首位打者になっている。
球団としては阪神が
野村克也監督の希望もあり、赤星に加え、
沖原佳典(NTT東日本)、
藤本敦士(デュプロ)と俊足選手を獲得。9人を指名したオリックスの“契約金ゼロ指名”も話題となった。
<次回に続く>
写真=BBM