投手力 PITCHING REVIEW

岸は通算1500奪三振を達成し、最優秀防御率に輝いた
打線が低迷する中、孤軍奮闘を見せたのが
岸孝之だった。5月から7月まで負けなしの8連勝。防御率2.72で最優秀防御率のタイトルを獲得している。だが、エース・
則本昂大は黒星先行の苦しいピッチングを強いられた。シーズン最終戦に勝ち星を挙げ、6年連続2ケタ勝利、そして5年連続最多奪三振のタイトルを手にしたものの、満足にはほど遠い成績に終わった。
先発ではプロ初勝利を挙げた
古川侑利など、若手投手の台頭はあったものの、期待された高卒2年目右腕・
藤平尚真は先発ローテを守れず4勝止まり。先発の駒不足は続いた。救援でもフル回転が期待されたクローザーの
松井裕樹、セットアッパーの
福山博之がまさかの不調に陥り、リードを守り切れない場面もたびたび見られた。
池田隆英、
近藤弘樹、
西口直人など、若き先発候補が控えており、今後、新たな争いによる全体のレベルアップが求められる。
攻撃力 HITTING REVIEW
昨季は助っ人トリオで計80本塁打をマークしたが、今季は51本塁打と大きく減少。
ウィーラーの故障、ペゲーロの負傷に加え、
アマダーはドーピング違反が発覚し、8月から6カ月間の出場停止処分が科された。超重量打線が「解体」となってしまい、必然的に得点力も減少。完全に迫力を失い、他球団の強力打線に太刀打ちできなかった。
そんな状況の中、若い打者の台頭が見られたのが数少ない光明と言えそうだ。シーズン途中から一番に定着した
田中和基は、1試合で左右打席本塁打をマークするなど躍動。
茂木栄五郎、
島内宏明は故障やその影響に苦しんだが、この3人による「タナモギアイランド」が犬鷲打線の命運を握っている。
また、自身初の開幕スタメンを勝ち取った
内田靖人は、レギュラーこそならなかったが、2ケタとなる12本塁打。
山崎剛、
西巻賢二など若手内野手も一軍戦に出場し、経験を積んでいる。
守備力 FIELDING REVIEW
正捕手の
嶋基宏を脅かす存在は今季も出てこなかった。第2捕手の座を確保したのは、昨オフにトレードにより
ソフトバンクから移籍してきた
山下斐紹。バットではサヨナラ本塁打を放つ活躍はあったが、スタメンマスクは21試合にとどまった。再転向する
岡島豪郎や、伸び盛りの高卒3年目捕手・
堀内謙伍も出場機会増を目指す。
昨季に引き続き、打線強化のために「二塁・
銀次」が今季も実現。これまでの正二塁手は
藤田一也だったが、高齢に加え故障がちで出場機会を減らした。来季は
西武から
浅村栄斗が加入したことで、二塁手不足は解消される。その分、一、三塁の定位置争いが白熱しそうだ。主砲候補の内田はいずれかのポジションをうかがう。
外野では田中が中堅に定着。
オコエ瑠偉は今季も故障離脱があり、本領発揮はならず。一発長打があるルーキー・
岩見雅紀は守備での不安を減らしたい。
[2018年の主な達成記録]
▼最年少100セーブ=松井裕樹、9月16日対
ロッテ(ZOZOマリン)、22歳10カ月
▼通算1000投球回=則本昂大、5月19日対
日本ハム(札幌ドーム)、プロ野球349人目
▼通算1500奪三振=岸孝之、6月7日対
巨人(東京ドーム)、プロ野球54人目
▼通算1000奪三振=則本昂大、4月6日対ソフトバンク(
楽天生命パーク)、プロ野球147人目
▼通算100本塁打=
今江年晶、4月21日対
オリックス、プロ野球286人目
写真=BBM