本格化する横一線の競争

東洋大・佐藤都志也は打って、守って、走れる新たな捕手像を確立しようと意気込む。2019年のドラフト候補である
大学日本代表はプロ野球への登竜門である。過去にも同カテゴリーをステップとして、プロのトップレベルで活躍する選手は数知れず。
2019年、最も注目したいのが大学ジャパンの正捕手争いである。レギュラー獲りに闘志を燃やしているのが東洋大・佐藤都志也(3年・聖光学院高)だ。
登録メンバーが限られる国際試合では、複数ポジションをこなせることも、選手選考の重要ポイントである。持ち前の打撃に加えて、2年時まで一塁手と外野手を守っていた佐藤。50メートル走5.9秒の俊足に遠投120メートル近い強肩と、まさしく、侍ジャパンに欠かせないプレーヤーだった。今年7月のハーレム・ベースボールウイーク(オランダ)では三番打者として打率.370、4打点で優勝に貢献も、捕手としての出場はなかった。
チームの勝利に貢献することが最優先であり、喜びも大きかったが「来年はキャッチャーで出場する」と、次のステップへ決意を新たにしたのは疑いのない事実だった。同大会でマスクをかぶった東海大・
海野隆司(3年・関西高)、立大・
藤野隼大(3年・川越東高)は同級生で、佐藤の闘志に火がつくのも当然だ。
19年の選手発掘と強化を目的とした大学日本代表候補合宿が12月1日から3日まで愛媛県松山市で行われた。代表経験者の佐藤、海野、藤野に加え、東京六大学選抜チームとして出場した世界大学選手権(台湾)で優勝した慶大・
郡司裕也(3年・仙台育英高)も招集。4捕手による激しいアピール合戦が繰り広げられた。佐藤は練習におけるリーダー役を自ら買って出て、39人が参加した強化合宿を盛り上げ、意気込みを体現してみせた。
「海野(隆司、東海大)、藤野(隼大、立大)、郡司(裕也、慶大)には、同じキャッチャーとして負けたくない」
佐藤には今年1年、東洋大で
上茶谷大河(
DeNA1位)、
甲斐野央(
ソフトバンク1位)、
梅津晃大(
中日2位)と、一流の右腕トリオをリードしてきた経験値がある。佐藤も先輩3人の背中を追いかけ、プロ入りを目指す。
「入ることも夢ですが、入ってから活躍することが大事だと思っています。(3人からは)『上で待っているわ!!』と言われました。3チームに分かれたので、希望がかなうならば、別のチームで対戦してみたい思いもあります」
好きな選手は捕手では
巨人・
炭谷銀仁朗で、打者だと
西武・
秋山翔吾。また、
野村克也氏の著書も肌身欠かさず持ち歩き、リーグ戦の移動バスでは読み込んでから神宮入りするのがルーティンという勉強家だ。野球ノートもマメに付けており、打撃の調子を崩しても修正できる、いくつもの引き出しを持つ。
打って、守って、走れる、新たな捕手像を確立したいという、佐藤の最終学年に注目だ。
文=岡本朋祐 写真=川口洋邦