
エンゼルスはトラウトと3年目のときに大型契約を結んだ。現在メジャーは有望な若手と早期契約を結ぶ傾向がある。さて大谷はどういう選択をするか!?
エンゼルスに入団した
大谷翔平選手の年俸は、調停権(3年間必要)やFAの資格を得るまで(6年間必要)安い給料で必ずしも我慢しなければならないわけではない。
実力を認められれば、早めに大幅昇給のチャンスが出てくる。現時点ではスタートはマイナー契約で、メジャーに昇格しても最低年俸の54万5000ドル。日本と違い、1年目に大活躍しても2年目の給料は微増が普通だ。だがレイズは2008年4月に、まだメジャー在籍6日目で、最低年俸だったエバン・ロンゴリア三塁手と6年1750万ドルで合意した。年平均300万ドル弱。球団が彼の将来性を買ったのである。
この作戦は球団にとって大成功だった。1年目27本塁打で新人王、2年目33本塁打とゴールドグラブ、3年目22本塁打MVP投票6位。本来なら3年で調停権を得て年俸は1000万ドル前後に跳ね上がったはずが、この契約のおかげで安く使い続けられた。
これに味をしめたレイズは11年12月に、昇格後17日目だった左腕
マット・ムーアとも5年1440万ドルで合意。再び年平均300万ドル弱。12年が11勝11敗、13年が17勝4敗でオールスターに出場した。レイズにとっては賢明なビジネス判断だが、選手にしてみれば早まったと後悔したことだろう。
一方でまったく反対の見込みが外れるケースもある。14年6月、アストロズはジョナサン・シングルトン一塁手とメジャー昇格の日に5年1000万ドルの延長で合意した。しかしこの投資は大失敗だった。1年目打率.168、13本塁打、2年目.191、1本塁打でマイナー降格。16、17年はお呼びがかからず、マイナーに留まった。一度もメジャーでのプレーを見ることなく決めたのは早計だった。言うまでもない、より確実なのは1年以上MLBでのプレーを見てから判断すること。
ブリュワーズのライアン・ブラウン外野手は1年目打率.324、34本塁打で新人王、翌年8年4500万ドル(年平均600万ドル弱)で延長した。ブレーブスのアンドレルトン・
シモンズ遊撃手は1年目17本塁打、守備でゴールドグラブ。翌年7年5800万ドル(年平均800万ドル弱)で延長した。これだけ長期の延長は払う側にもリスクはあるが、スター選手として長く活躍できると判断した。実際、2人ともオールスター選手に育っている。
この金額をはるかに上回るのはエンゼルスのマイク・トラウト外野手のケース。1年目打率.326、30本塁打、2年目.323、27本塁打でMVP投票2位。3年目のシーズン前に6年1億4450万ドル(平均2400万ドル)で合意した。球団はこうすることで、通常なら実働6年でFAとなり出ていかれるところを長く引き止められる。トラウトがFAになるのは実働9年が経ってからだ。
さて大谷が大活躍したとして、どのタイミングで、どの金額で契約延長に応じるかは難しい判断である。あるいは延長には応じずに調停権とFAで年俸を増やしていくか。ちなみに大谷のネズ・バレロ代理人は08年に前述のライアン・ブラウンの契約を結んだ人。当時としては画期的で以後の若手選手の契約延長の流れを作った。
文=奥田秀樹 写真=Getty Images