背番号は、ある選手が引退しても、またある選手に受け継がれていく。2019年も新たな後継者が誕生した。その歴史を週刊ベースボールONLINEで振り返っていく。 川上も最初は投手
“打撃の神様”巨人の川上哲治が永久欠番となっている「16」。10番台では珍しく好打者も少なくないが、多数派は投手だ。川上も最初は投手で、勝利投手になりながら通算2000安打を達成した初の選手となった。
特にパ・リーグでは
日本ハム1年目に先発投手タイトルを総ナメにした
木田勇や、近年は2017年に最多勝となった
ソフトバンクの
東浜巨ら好投手が並ぶ。
西武の系譜には、西鉄時代にノーヒットノーランを達成した
大津守、西武黄金時代には
松沼雅之から“サンフレッチェ”の一矢となった
潮崎哲也、21世紀には最多勝2度の
涌井秀章や
ヤクルトでの若手時代も「16」だった
石井一久、14年から「16」となってエースに成長した
菊池雄星と好投手がズラリと並ぶ。涌井は「18」を経て、移籍した
ロッテで「16」に“復帰”も今季から再び「18」に。菊池は19年からメジャーに活躍の場を移す。
オリックスでは、阪急黄金時代の
足立光宏から、オリックス初の日本一に貢献した強打者の
ニールを経て、クローザーの
平野佳寿が継承。平野もメジャーでリリーバーとして活躍しているそのオリックスをFAとなった
西勇輝は、新天地の
阪神で19年から「16」を背負う。
【12球団・主な歴代「16」】
巨人 川上哲治、
水野忠彦、川上哲治★
阪神
三宅秀史(伸和)、
上田二朗(次郎)、
岡田彰布、
安藤優也、西勇輝☆(2019年~)
中日 大島信雄、
伊藤久敏、
土屋正勝、
森野将彦、
又吉克樹☆
オリックス
山下好一、
原田孝一、足立光宏、ニール、平野佳寿
ソフトバンク
上田良夫、森下正弘(正夫、整鎮)、
江本孟紀、
篠原貴行、東浜巨☆
日本ハム
一言多十、布施(金山)勝巳、木田勇、
金村秀雄(暁、曉)、
有原航平☆
ロッテ
上野重雄、
鈴木隆、
遠山昭治、
久保康友、涌井秀章
DeNA 鈴木隆、
欠端光則、
川村丈夫、
加賀繁、
大貫晋一☆(2019年~)
西武 大津守、松沼雅之、潮崎哲也、涌井秀章、菊池雄星
広島 備前善夫、
安仁屋宗八、
長冨浩志、
山内泰幸、
今村猛☆
ヤクルト
井上佳明、
西岡清吉、
渡辺孝博、石井一久、
原樹理☆
楽天 山村宏樹、
森雄大☆
(☆は2019年、★は永久欠番)
シーズン三振の最多と最少も
川上が投手ではなく打者として球史に名を刻んだように、やはり「16」で際立っているのは打者だろう。川上のいた巨人のライバルである阪神では、長くプロ野球記録だった700試合連続フルイニング出場の三宅秀史(伸和)から、三宅にあこがれた岡田彰布がリレー。その岡田が五番打者として21年ぶりのリーグ優勝に貢献した85年に大洋で“スーパーカートリオ”の一番打者として活躍した
高木豊も、プロ1年目と日本ハムでの現役ラストイヤーが「16」だった。
打者の「16」で忘れられないのが近鉄のブライアントだろう。88年に来日し、中日の二軍でくすぶっていたところ、デービスの逮捕で緊急移籍、6月下旬の移籍ながら、そこから34本塁打。近鉄は伝説の“10.19”に導かれていく。雪辱を期した翌89年には終盤のダブルヘッダーで2試合にまたがる4打数連続本塁打を放って優勝を呼び込んだ。
ちなみに、シーズン最多三振のプロ野球記録は、93年にブライアントが喫した204三振。規定打席(打数)到達者での最少記録は、わずか6三振という川上。「ボールが止まって見えた」51年のことだ。
写真=BBM