菅野は心配なし

巨人・菅野。このクラスの選手がこの時期に少し落ちてもまったく問題ない
各チームの先発陣が少し荒れてきた。
ソフトバンク・
バンデンハーク、
西武・
内海哲也、
DeNA・
石田健大、
オリックス・
ディクソン、そして
楽天・
則本昂大が次々故障で開幕絶望となった。
右ヒジのクリーニング手術を受けた則本以外は、それほど長くはないかもしれないけど、俺の計算が狂ったことは間違いない。
なんの計算? 2019年順位予想でしょ。2月半ば週べの企画で、「日本一早い順位予想」をと言われ、俺と
里崎智也(元
ロッテ)で対談をし、順位予想をした(3月11日号)。
その中で2人がパ・リーグの台風の目に挙げたのが楽天だった。
あのときは、打線は
浅村栄斗の加入で外国人選手頼みから脱却し、投手陣では則本と
岸孝之と2ケタが計算できる柱があった。あとは抑えの
松井裕樹次第かなと思っていた。
言い訳するわけじゃないが、やっぱりキャンプ中の順位予想は早すぎたんじゃないかな。
編集部に言って俺の予想は、楽天3位から5位にした。当たったから賞金が出るわけでもないんだけど、やっぱり解説者としてはやるからには当てたい。
せめてオープン戦が1週間くらい過ぎていたら、何が起こっても変えない。実戦も始まっているし、「選手を見てない」は言い訳にもならない。「ちゃんと見ろ!」で終わりだからね。
たとえば、巨人の
菅野智之が3月8日、京セラドームのオリックス戦で大炎上。4回で6失点だった。
だからと言って、急に「菅野に黄色信号」だから巨人は2位予想をもう少し下に、なんて言う気はない。
菅野の力、仕上がりを見ているからね。
さらに言えば、菅野クラスになれば、まったく問題ない。あの試合も、球威はあったが、球が少しずつ甘くなっていたのが原因だけど、キャンプ前から捕手を座らすくらい飛ばしていたから、ちょっと疲れがたまっていたんじゃないかな。
体だけじゃなく、メンタル面での疲労もある。知らず知らず、集中力を欠き、体の動きとのギャップがあったような気がする。
でも、滅多打ちでよかった。1、2点なら「こんなはずはない」と引っぱったかもしれないが、これだけ点を取られたら切り替えられるしね。
もともとピッチャーは、よほどのスーパーエースでない限り、1年間、万全な状態をキープすることは無理。それこそ13年の
田中将大くらいじゃないか(楽天─ヤンキース)。
むしろ、波は必ずあるもの。技術やキャリアで、それをいかに小さくするかが、長く結果を出せる秘訣でもある。
俺が現役時代は、オープン戦序盤の時期に一度、意識的に落として開幕までに上げていった。開幕が100じゃなくても何試合か投げているうちでいいと割り切っていた。
菅野に関しては、今の段階では、まったく心配する必要はない。むしろ、俺は飛ばし過ぎのつけが、シーズンに入ってから、梅雨時か夏場に出ないか、と心配していた。この時期の不振は良かったんじゃないか。
巨人の不安はそれよりもリリーフ陣。ただ、少しずつ若い選手も出てきた。
中継ぎ候補が
吉川光夫、
大江竜聖、
宮國椋丞、
坂本工宜、
桜井俊貴あたりがいて、抑えは
クック。クックも1試合はよかったけど、まだ分からない。
俺が注目するのは桜井。まだバラつきはあるけど、随分、球の質がよくなってきた。ドライチで入って、もう4年目。そろそろ結果が欲しいところだ。
この春、Gのサクラは咲くのか、それとも春が終わる前に散っちゃうのかな。
写真=BBM