
勝利の瞬間、前田智徳(左)と抱き合って喜んだチェコ
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は1995年4月12日だ。
この日の
阪神戦(甲子園)、
広島のユニフォームを着て、公式戦初登板を果たしたのが1990年、ドミニカ共和国で設立されたカープアカデミーの1期生、
ロビンソン・チェコだった。MAX147キロのストレートにスライダー、チェンジアップを駆使して、9三振を奪ったチェコ。推定年俸480万円の男が、2億円助っ人コンビを含むトラ打線を封じ込めた。
4安打、無四球で完封。初勝利を見事なピッチングで飾ったのだから、
三村敏之監督もスペイン語で「ムイ・ビエン」(素晴らしい)と最大級の賛辞を贈った。
外国人も自前で育てる時代――広島の描いてきた理想を具現化してみせたチェコ。勝利の喜びにどっぷりと浸かりながら「気持ちで向かっていくことだけを考えていたよ。もっと暖かくなれば155キロは出るかな」と笑顔を見せていた。
写真=BBM