
第1打席目の打球がエラーから三塁打に訂正され、その後にサイクル安打を達成した梅野。そういう運も味方となった記録達成だった
左足薬指骨折を負いながらも4月9日の
DeNA戦(甲子園)でサイクル安打を放った
阪神・
梅野隆太郎。普段から気さくで、グラウンドで目が合うとすぐに会釈をしてくれ「また取材よろしくお願いします」と言葉をかけてくれる。
サイクルヒットを放った数日後、別の選手の取材が終わりインタビュールームから引き上げるとき、偶然にも試合前練習に向かうためロッカールームから出てくる梅野と遭遇した。「サイクル安打おめでとうございます」と声を掛けるとにこやかに「ありがとうございます」と返してくれた。そこからグラウンドに出るまで、歩きながらなぜか趣味の釣りの話に。「最近はゴルフの方が多くて釣りには行けていないんですが、オフに行きました。船を出してはまちを釣りましたね。また行きたいんですけどね」。以前はシーバスをターゲットにおかっぱり(陸釣り)が多かったのだが、船釣りの楽しさも覚えたのだろう。
歩きながらそんな話をしている間にも、女性記者や仲のいい記者にあいさつをしながら、何かひと言ずつ声を掛けていく気さくな梅野。勝っても負けても、囲み取材にきっちりと答える真摯な人柄もある。骨折をしながらも試合に出続ける精神力も含め、実力はもちろんのことだが、今回は野球の神様が、サイクル安打のご褒美を与えてくれたのかもしれない。
文=椎屋博幸 写真=石井愛子