ペナントレースは開幕から対戦が一回りしたところだが、各チームで誤算も出てきている。シーズン当初の目論見どおりの働きができていない選手。ここではセ・リーグ各球団の今後、チームを上昇気流に乗せるために奮起を期待したい選手を見ていこう。 広島東洋カープ
広島で頑張ってもらいたいのは、五番打者の松山竜平だ。開幕から打撃の調子が上がらず、先制機となった一死満塁で併殺打に倒れた4月7日の
阪神戦(マツダ広島)の試合後には首脳陣から厳しいコメントも。打撃不振が影響したのか、ファーストの守備でもミスが相手の得点につながるシーンが続き、4月11日の
ヤクルト戦(マツダ広島)では試合中にレフトへの守備交代を命じられた。打率は4月15日現在で.184と低迷が続いているが、外野に固定されて守備の負担が減り、打撃に集中できるようになれば、復活の可能性は十分ある。誰からも愛される好漢だけに、暗い顔は似合わない。早く本来の打棒と明るい表情を取り戻してもらいたいところだ。
読売ジャイアンツ
3年ぶりの一軍勝利を含む6勝を挙げるなど、昨季はシーズン後半の先発ローテーション定着でチーム3番目の勝ち星を挙げた今村信貴だが、現在は二軍調整中。ただ、気の毒な面もある。キャンプ、オープン戦では好投を見せて先発ローテ5番手をほぼ手中に収めていたが、チーム方針で3年目の右腕・
畠世周、新人左腕・
高橋優貴が優先され、中継ぎ経験も豊富な今村はリリーフ待機に。開幕後は4月2日の阪神戦(甲子園)まで出番がなく、2試合で3失点を喫し、再びチームの先発強化の方針で先発再調整のために7日に登録抹消。12日のイースタン・リーグ
西武戦(西武第二)では7回2安打1失点とさすがのピッチングを見せており、虎視眈々と一軍復帰をうかがっている。
阪神タイガース
開幕から「四番」として起用されたプロ3年目の大山悠輔。オープン戦で4本塁打を放ち、右の大砲として期待されながら開幕戦を迎える。しかし、四番の重圧か、チャンスでなかなかタイムリーがでない状況が続いた。15試合を消化した時点で打率.224で1本塁打、4打点は四番としては寂しい内容。大山自身もこの状況を打開しようと練習に取り組んではいるが結果がついてきてない。それでも
矢野燿大監督は辛抱強く成長を見守っている。4月13、14日の
中日戦(甲子園)で第1打席にヒットを放ち、14日の第4打席にはレフトオーバーの二塁打をかっ飛ばすなど徐々に調子を上げてきている。ここから巻き返しを図るつもりだ。
東京ヤクルトスワローズ
昨季終盤にセットアッパーとして台頭し、3年目の今季は「7回の男」として期待された梅野雄吾。だが、今季3試合目の登板となった4月4日の
DeNA戦(神宮)では
ソトに勝ち越しソロを許すと、代打・
佐野恵太に満塁ホームランを打たれてしまった。それでもその後は4試合連続無失点を続け、4月14日現在で防御率5.87と着実に良化させている。打線が好調な上に、
五十嵐亮太、
マクガフと救援陣では新戦力も機能している。梅野も好調の波に乗り、確固たる地位を築きたい。
横浜DeNAベイスターズ
こんなはずじゃない……。周囲と同じく、本人がそれを一番感じていることだろう。桑原将志はレギュラーの座を取り戻すために強い気持ちで臨んだキャンプでは、
ラミレス監督が第1クールのMVPに名前を挙げるほど好スタートを切った。しかし、オープン戦後半に打撃の調子を下げ、開幕スタメンを逃した。ここまでスタメン出場は2試合にとどまり、代打、守備固めでの起用が多くなっている。4月15日時点で、いまだノーヒット。今季、“1本目”が出れば、気分的にも乗っていけるだろう。力をつけてきた
神里和毅、
楠本泰史、佐野恵太ら同世代に負けてはいられない。
中日ドラゴンズ
昨季はリーグ5位の打率.321で竜打線をけん引したソイロ・アルモンテだが、7試合を終えた時点(4月5日)で無安打と、本来の力を出し切れないでいた。だが、6日のヤクルト戦(神宮)で、やっと今季初安打となるソロ本塁打が飛び出し昨季の感覚を取り戻すと、その後は連日安打。打率はいまだ2割を切っているが、外野の間を抜く鋭い打球が増え、復調の兆しは見えている。勝負強いスイッチヒッターがよみがえれば、タイムリーが出ずに苦しむ打線の助けになるはずだ。
写真=BBM