
プロ入り5年目での大抜擢に、結果で応えている中日の加藤匠馬。正捕手獲りへ、このチャンスを生かせるか
4月17日の
DeNA戦に勝利し、1059日ぶりのリーグ2位に浮上した中日で、16試合中11試合で先発マスクを任されているのがプロ入り5年目の加藤匠馬だ。昨季はキャリアで初めて一軍出場なしに終わり、「クビも覚悟した」と言うが、
与田剛監督の就任で指導体制が変わったことが転機となった。
現役時代は
西武黄金期を支えた名捕手の
伊東勤ヘッドコーチによって加藤の肩がクローズアップされ、「正捕手候補」として春季キャンプから一軍に抜擢を受ける。大きな期待を受けて、その後もチームの捕手ではオープン戦に最多出場。キャリア(2018年まで一軍出場は5試合のみ)で初めて開幕戦で先発マスクをかぶるなど、とんとん拍子だ。
そんな加藤に週刊ベースボール4月29日号でインタビューを行った。小学生時代の「クラスメートが5人」など、野球を始めた当時の話も興味深かったが、中でも盗塁が考えられるシチュエーションでの、心の持ち方が素晴らしい。いわく、「けん制なんかいらないから、ホームに放ってこい。刺したるわ!」。
一軍抜擢の理由となった強肩は、“甲斐キャノン”でおなじみの
ソフトバンク・
甲斐拓也よりも上と評価する関係者も多く、伊東コーチも「あの肩は今まで見たことがない」。すでにファンの間では「加藤バズーカ」と呼ばれており、本人も「肩だけは誰にも負けたくありません。それがなかったらただの人」と自信をのぞかせる。
捕手に必要な経験の不足など課題はあるものの、打っても17日時点でマルチ2度、猛打賞1度で打率.303。
谷繁元信(横浜、中日、元中日監督)の引退以降、ドラゴンズの長年の悩みである正捕手問題を、解決する存在となるかもしれない“バズーカ”に要注目だ。なお、インタビューではキャッチング、フットワークにライン出しと、盗塁阻止の秘訣を中高生のプレーヤー向けに解説しているので、ぜひ。
文=坂本 匠 写真=榎本郁也