
ウイニングボールを手にする山口(左は二岡智宏)
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は2007年5月9日だ。
さわやかな笑顔には野球ができる喜びにあふれていた。この日、甲子園で行われた
阪神戦で
巨人の
山口鉄也は育成出身選手として初めて勝利投手となった。4対5の8回に4番手として登板。この回を1安打無失点で切り抜けると、9回に打線が逆転して白星を手にした。
甲子園での伝統の一戦という大舞台での勝利に「甲子園は高校のときに行けず、もう行けない場所だと思っていた。それが初勝利なんて……感激です」と声を震わせた山口。横浜商高ではプロから声がかからずに、野球を続けたい、レベルアップしたいとの思いから卒業後、メジャー・リーグ、ダイヤモンドバックス傘下のルーキーリーグに飛び込んだ。長時間バスで移動し、遠征先での手当ては1日20ドル。ハンバーガーをかじりながら夢を追った。
アメリカで3年間プレーし、06年から導入された育成選手制度で巨人に入団。支度金はわずかで年俸は240万円だったが、アメリカで耐えた山口にとっては「恵まれていた。二分選手と同じように扱ってもらったし、いい場所だった」。そして、2年目の07年4月23日に支配下選手登録され、夢だったプロでの初勝利にたどり着いた。
写真=BBM