
両リーグ1000安打を達成し、花束を掲げてファンの声援に応える落合
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は1997年5月28日だ。
いかにも“らしい”打球だった。この日、東京ドームで行われたダイエー戦。
日本ハムの
落合博満は初回、
若田部健一の外角139キロの直球に逆らわず一、二塁間を抜いた。
「オレらしいヒットじゃないか」
大杉勝男(東映ほか)以来、史上2人目となるセ・パ両リーグ1000安打達成の瞬間だった。これまで通算1000安打、1500安打、2000安打と、節目の記録を本塁打で飾っていた落合だが、この記録達成は地味な安打だった。
常々、「ヒットを打つのは簡単なことなんだ」と言っていた落合だが、今回は苦しんだ。記録に残り4本に迫ったのが5月17日のこと。そこから11日間、9試合を要した。
「記録は頭になかった。でも、いろいろと難しく考えてしまっていたと思う。どういう打ち方をしようかとか、どういう球が来るかなんて。でも、野球はやっぱり来た球を打つんだよ」
原点を再確認した安打でもあった。
写真=BBM