
今や阪神の8回に欠かせない男となったジョンソン。日本の文化や日本語を積極的に受け入れ楽しみながらプレーしている
日本に行き、阪神でプレーすることにまったく抵抗がなかったという。阪神のセットアッパーとして活躍している
ピアース・ジョンソンだ。カブスのマイナー時代にチームメートだった
川崎宗則(元
ソフトバンクほか)に少し日本の野球について話を聞いたりした。特に阪神でプレーしたことを「すごくいい経験だった」と教えてくれたのが
マット・マートンだった。
彼らの話を聞いていた中での阪神からのオファー。奥さんも即決でOKを出してくれた。「知らない文化の中で、自分たちの新しいチャプター(章)が待っているし、エキサイティングなアドベンチャーだと思ったんだ」。
そんなジョンソンだからこそ、日本語の習得も早く、日本語を覚えようと好奇心旺盛だ。彼の中で一番耳に入ってくる日本語があるという。それは「そうですね!」というフレーズだ。
「試合中の状況は、テレビを見ながら待っているんだけど、そこで解説者の方が頻繁に『ソウデスネ』と必ず言うんだ。それにチームメートも試合後のお立ち台のインタビューで『ソウデスネ』っていうから、意味が知りたくて」
確かに野球ファンなら何気なく聞いている実況で解説者が実況の質問に「そうですね」と言ってから答えることに何の違和感もないはず。でも外国人にとっては、特にジョンソンにとっては、すごく耳に入ってくるらしいのだ。
阪神の栗山通訳は「的確な訳し方はないのですが、彼には『I agree with……』に近いかなあ、と教えました」とのこと。同意的な部分もありながら、質問に答えるまでの時間を作る言葉でもある。インタビューのときも、選手たちが「そうですね……」と言いながら質問の答えを考える時間にあてていることが多い。
これからプロ野球の試合を見るときは、解説者の方々の「そうですね」がどういう感じで使用されているか、興味を持ちながら試合を見ていくのも面白いだろう。そして次回、ジョンソンがどんな日本語を覚えていくのかにも興味がある。「いい1日を!」が素晴らしい発音だったのには驚いた。
文=椎屋博幸 写真=BBM