
東京農業大學全學應援團の前田團長は大根を手に気合のポーズ
大根は青空に映える。
6月16日、全日本大学野球選手権準決勝(東農大北海道オホーツク対明大)。神宮の三塁側応援席では東農大全學應援團による、気合のこもった応援を繰り広げられた。
リーダー部28人、チアリーダー部23人、吹奏楽部64人を束ねるのは、前田大地團長(4年・茂原樟陽)だ。
同應援團は東京の本部、オホーツク支部、厚木の3キャンパスの集合体であり、前田團長は「仲間の頑張りを応援するのは当然のことです」と、顔を紅潮させながら話した。高校時代は剣道部に在籍。「大学4年間、何か真剣に向き合える分野を探した際、サークル活動よりも、自分には、應援團しかないと思った」と、選手から部活をバックアップする立場に転向した。
神宮のリーダー台に上がるのは、格別である。しかも、この日は大観衆の前で学生、OB、関係者を一手にまとめる至福の時間を過ごした。
學歌『青山ほとり』に合わせた名物の「大根踊り」が繰り広げられるたび、神宮は大変な盛り上がり。令和元年に、昭和の香りがむしろ、新鮮に感じた。大根は、應援團と長く付き合いのある業者から購入する。リーダー部員は両手で振りかざすため、1回につき、大量30本を取り寄せなければならない。2~3試合に一度は交換するため、今大会4試合目となったこの準決勝では、新鮮な大根が準備された。
東農大北海道オホーツク健闘及ばず、決勝進出を逃した。だが、まだ春のシーズンは終わっていない。
本家の東農大は今春、東都大学二部リーグで最下位となり、三部優勝・大正大との二部三部入れ替え戦が6月25日から控えている。二部残留をかけて再び、神宮に乗り込んで母校・東農大に声援を送るのだ。
「まずは二部残留ですが、秋は二部優勝して、一部二部入れ替え戦に勝ち、一部昇格を遂げて後輩に託したい」
東都二部は公営球場での開催であり原則、神宮でプレーすることはできない。だからこそ、入れ替え戦でもテンションは自然に上がる。神宮の杜に映える全力の「大根踊り」。選手たちを後押しするのは間違いない。
文=岡本朋祐 写真=BBM