先発ローテの3、4番手がKO

バティスタが調子を戻せば5月のようなリズムが作れるはず
セ・リーグを頭一つ抜け出した形で、「日本生命セ・パ交流戦」を迎えた
広島が、6月17日まで4カードを消化(1試合は雨のため延期)した時点で3勝7敗1分け、交流戦最下位と苦しんでいる。この時点でセ・リーグの首位は保っているが、2位・
巨人には0.5ゲーム差まで差を詰められてきた。
5月は月間成績20勝4敗1分け、交流戦に入る前まではセ・リーグのチームを相手に9カード連続勝ち越しと突っ走ってきた広島だけに、「いったいどうなっちゃったの?」と思うファンの方も多かろう。見ていると、5月に調子よく走っただけに、投打ともにそろって調子の波がやや下降線をたどる時期が来て、そこに交流戦という、リズムの変わるきっかけもあり、さらに最初に昨年の優勝チームの
西武や、昨年日本一の
ソフトバンクといった、パ・リーグの中でも力のあるチームと対戦することになる、という状況も重なって、調子を崩してしまった、という感がある。交流戦に入る前のこのコラムで、「立ち上がりの6試合がカギ」と書いたが、そこが2勝4敗。ちょっと危惧していた面が出て、立て直すのに時間がかかってしまっている感じだ。
交流戦に入るところでは、「投手陣は2018年のようにガタガタと行ってしまうことはないだろう」と予想したが、そうはいかなかった。
野村祐輔が6月11日の
日本ハム戦(札幌ドーム)で1回5失点、プロ入り以来最短でKOされファームでの再調整となり、ここまで安定した投球を見せていた
床田寛樹が14日の
楽天戦(楽天生命パーク)で2回途中までに5ホーマーを喫してこれもKOと、先発ローテーションの3、4番手が崩れては、なかなか勝ち越しは難しかった。床田はトミー・ジョン手術から復活してきただけに、シーズンを通して投げた経験がない。今後、どう立て直してくるかは、広島の4連覇への大きなカギになってくるだろう。次の先発機会に注目したい。
ただ、今季の広島は、
佐々岡真司投手コーチが「先発10人構想」を打ち出しており、ファームにも「先発枠に空きが出ればすぐ埋められる」ということを前提に調整している投手は多い。幸い、
大瀬良大地、ジョンソンの左右の両輪はしっかりしているし、リリーフ投手のほうは、本来の抑えの
中崎翔太はやや調子が出ていないが、好調なレグナルト、
中村恭平の両左腕を勝ちパターンに組み込み、
一岡竜司、
フランスアで形が作れている。先発陣さえチーム全体でやりくりする形が見えれば、この崩れはカバーできる可能性はある。
クリーンアップはどうなる?
打線のほうは、一番を打っていた
野間峻祥と、三番を打っていたバティスタが、交流戦に入って不調に陥り、交流戦途中から一番は
長野久義に。さらに6月19日の楽天戦(楽天生命パーク)で、絶好調だった5月のクリーンアップの基本形も崩し、三番・
西川龍馬、五番・
會澤翼、七番・バティスタのオーダーを組んだ。これで勝利を収めたため、今後それを続けるのか、あるいはバティスタの調子が戻ったと見て5月の形に戻すのかはしばらく見てみないと分からないが、やはり5月に見えた形が今季のカープ打線の理想形であるようにも思えるだけに、バティスタと野間の出来が今後の打線のポイントになってくるということは間違いないだろう。
最後に。日程的な面を見ると、ここまでの広島は、交流戦4カードのうち3カードはビジター(しかも広島からはより遠めの3球団)であり、唯一のホームでの3連戦だったソフトバンク戦は、カープにとって埼玉から移動日なしで広島へという日程で、むしろ福岡から広島に移動しただけのビジターのソフトバンクのほうが楽という、地の利をやや減じられた中での戦いだった。その点、交流戦の最終週は、移動日を挟み、本拠地に腰を落ち着けての6連戦。ここまでの憂さを晴らし、交流戦最下位脱出はもちろん、一気に交流戦で作ったマイナスを取り返すような戦いをすることも不可能ではない気はするが。さて……。
文=藤本泰祐 写真=BBM