
ドラフト1位の小園がプロ初安打など話題もあったが、交流戦順位は最下位と振るわなかった広島
2019年シーズンの交流戦は6月23日、4勝12敗1分けで広島の最下位が確定。6月17日の敗戦でついにセ・リーグ首位の座からも陥落していた。一方で、好調だったのが
巨人だ。交流戦前は調子を落としていたが、11勝7敗で交流戦3位。広島を抜いてリーグ首位の座に返り咲いた。
このように、交流戦をきっかけに調子を上げるチーム、失速するチームが出てくるが、交流戦が終わった後もその調子を維持し続けるものなのだろうか。「交流戦で調子を上げたチーム、失速したチーム」をピックアップし、その後のシーズンの動向をまとめてみた。
交流戦で調子を上げたチームのその後
●2006年
ヤクルト 交流戦開幕前⇒5位
交流戦終了時⇒4位
シーズン終了時⇒3位
2006年の交流戦ではヤクルトが躍進した。交流戦前は借金7で5位に沈んでいたが、いざ交流戦が始まると22勝14敗と絶好調。交流戦で一気に借金を帳消しにし、Aクラス目前まで迫った。しかし終盤まで交流戦の勢いは続かず。首位とのゲーム差18と、優勝にはほど遠い3位で終了となってしまった。
●2007年
日本ハム 交流戦開幕前⇒5位
交流戦終了時⇒1位
シーズン終了時⇒1位
借金生活だった日本ハムが交流戦で大躍進。18勝5敗の成績で交流戦を制し、一気にリーグ首位に浮上した。その後も
ソフトバンク、
ロッテと激しい首位争いを繰り広げ、最終的には2位・ロッテに2ゲーム差を付けて優勝した。
●2008年 ソフトバンク
交流戦開幕前⇒4位
交流戦終了時⇒2位
シーズン終了時⇒6位
借金2のリーグ4位という成績で交流戦に突入したソフトバンクは、ここで一気に調子を上げ、終わってみれば15勝9敗の成績で交流戦優勝。リーグ順位も2位に浮上した。その後もAクラスを維持し続けるが、9月、10月で大きく負け越して最下位に転落し、シーズンを終えた。
●2011年
オリックス 交流戦開幕前⇒6位
交流戦終了時⇒3位
シーズン終了時⇒4位
交流戦前はリーグ最下位だったオリックスは、交流戦を15勝7敗2分けと大きく勝ち越して2位でフィニッシュ。リーグ順位も3位までジャンプアップした。リーグ戦の最終順位は4位だったものの、勝率は5割を超えており、リーグ最下位からうまく盛り返したといっていいだろう。
●2018年 ヤクルト
交流戦開幕前⇒6位
交流戦終了時⇒2位
シーズン終了時⇒2位
リーグ最下位に沈んでいたヤクルトは、交流戦で大きく躍進。ここで一気に調子を上げ、12勝6敗の成績で交流戦を制覇した。リーグ順位も一気に2位まで浮上。首位を独走していた広島には追いつけなかったが、序盤の不振を払拭するきっかけとなった交流戦だった。
シーズン序盤は低迷していたものの、交流戦で調子を上げたチームをまとめてみたが、交流戦の勢いのままリーグ優勝を果たしたのは2007年の日本ハムのみとなった。それ以外は、Aクラス入りが2回、Bクラスが2回という結果だ。調子を落としているチームが交流戦で復調しても、「上位進出のきっかけになる」程度だと考えた方が良いのかもしれない。
交流戦で失速したチームのその後
●2006年 巨人
交流戦開幕前⇒1位
交流戦終了時⇒3位
シーズン終了時⇒4位
この年の巨人は開幕ダッシュに成功し、交流戦が始まるまで貯金12で首位を走っていたが、交流戦で13勝23敗と大ブレーキ。大きく順位を落とすことになった。交流戦後も調子は戻らず、一時は最下位に落ちるほどで、最終的に4位という結果に終わった。
●2007年 広島
交流戦開幕前⇒3位
交流戦終了時⇒5位
シーズン終了時⇒5位
この年の交流戦で最下位に沈んだのが広島。5勝18敗1分けと大きく負け越した。交流戦前はリーグ3位で、「ここで上位進出のきっかけをつかみたい」という状況だったが、一気に借金13の5位に落ちてしまった。その後も一時最下位に落ちるなど調子は上がらず、結局5位でシーズンを終えることになった。
●2008年
西武 交流戦開幕前⇒1位
交流戦終了時⇒1位
シーズン終了時⇒1位
この年のパ・リーグは西武が序盤から圧倒的な強さを見せたが、交流戦では10勝14敗と失速。そこまで大きく崩れたわけではないが、まさかのブレーキとなり、交流戦優勝のソフトバンクに猛追されることとなった。とはいえ、交流戦後は調子を取り戻し、なんとかリーグ優勝を果たした。
●2011年 広島
交流戦開幕前⇒2位
交流戦終了時⇒5位
シーズン終了時⇒5位
序盤からヤクルトと首位を争っていた広島は、リーグ2位の成績で交流戦に突入。しかし、6勝16敗2分けと大きく負け越し、順位も5位まで落ちてしまった。その後は浮上のきっかけをつかめずにBクラス生活が続き、5位でシーズンを終えた。
●2013年 西武
交流戦開幕前⇒2位
交流戦終了時⇒4位
シーズン終了時⇒2位
リーグ2位につけていた西武だったが交流戦で失速した。交流戦の戦績は11勝13敗とそこまで悪くはないが、パ・リーグで唯一の負け越しとなってしまったため、交流戦後は4位に転落。後半戦で盛り返すがリーグ2位に終わり、交流戦の失速が悔やまれるシーズンとなった。
●2014年 広島
交流戦開幕前⇒1位
交流戦終了時⇒2位
シーズン終了時⇒3位
この年はリーグ上位のチームが交流戦でも好調を維持したが、セ・リーグの首位だった広島だけが大ブレーキ。苦しい戦いが続き、結局交流戦で9勝15敗と大きく負け越してしまった。交流戦中盤の6月8日に首位の座を巨人に明け渡すと、そこから再び首位を奪うことができず、結局3位でシーズンを終えることとなった。
●2015年
DeNA 交流戦開幕前⇒1位
交流戦終了時⇒2位
シーズン終了時⇒6位
2015年の交流戦は、なんといってもDeNAの大失速だろう。交流戦が始まるまでは貯金10で首位に立つ好調っぷりだったが、交流戦では3勝14敗1分けと大きく負け越してしまった。かろうじてリーグ2位に踏みとどまったものの、その後はズルズルと順位を下げて最下位でこのシーズンを終えることになった。
ちなみに、この年は交流戦前にDeNAに次ぐ2位だった巨人も大きく負け越している。他のセ・リーグのチームにも、大きく勝ち越したチームがいなかったため、交流戦の後に「セ・リーグ全球団が貯金なし」という珍事となった。
●2017年交流戦 巨人
交流戦開幕前⇒3位
交流戦終了時⇒4位
シーズン終了時⇒4位
5月25日の
阪神戦で負けて以降、交流戦まで4連敗中だった巨人。交流戦に入ってからも勝てない試合が続き、結局13連敗の球団ワースト記録を作ってしまった。交流戦前から苦しい戦いが続いていたが、交流戦で完全に投打が崩壊。交流戦の前後で順位は一つしか下がらなかったが、順位以上に厳しいシーズンを送り、リーグ戦は4位に終わった。
交流戦で大きく調子を落としたチームは、その後も調子を取り戻せずに優勝争いから脱落したり、下位に沈んでしまったりすることが多い。西武のように失速を最低限に抑え、うまく立て直してリーグ優勝や首位に肉薄するという例はあるものの、基本的には交流戦後も苦しい戦いが続くことを覚悟しないといけないようだ。
交流戦で調子を上げたチーム、失速したチームのその後はこのようになった。気になるのは「失速したチーム」として広島が3度挙がっていることだ。今シーズンを合わせると4度目の失速となるが、プレーする選手たちが変わっても広島は交流戦が苦手なのかもしれない。ちなみに、広島が交流戦で失速して巨人に首位を明け渡すの�
蓮�2014年のパターンと同じ。当時はそのまま巨人が首位を維持して優勝したが、今回はどうなるのだろうか。広島と巨人の今後の展開に注目だ。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM