巨人を追う可能性はDeNAが一番

毎日毎日、よく投げてる。エスコバーは本当にタフだな
コラム担当の編集者がこぼしていた。
「このまま行ったら、ネタがなくなりまっせ!」(彼は関西人でない)
セ、パのペナントレースだ。
7月9日時点でセ・リーグは
巨人が2位
DeNA、
阪神に8.5ゲーム差、パ・リーグは
ソフトバンクが2位
日本ハムに7ゲーム差。セに至って貯金があるのは巨人だけだ。
「最後までもつれたほうが、優勝争いの特集も盛り上がるんですけどね……」
と彼は言うが、仕方あるまい。勝負の世界はこんなものだ。
ただ、首位の2チームは、どちらも開幕前に戦力のだぶつきを言われた球界屈指の金持ち球団。それが故障者もあって夏場になって“ちょうどよく”なっている。
最近、1年間フルに働く選手が、特に投手陣で減っているように思う。その中でチームを常に活性化しておくには、完全固定より、ありあまる戦力を次々入れ替えながらやっていくほうがいいということだろう。特にブルペンをいつもフィジカル、メンタルともフレッシュな状態にしておくのは重要だ。
ただ、それだけじゃあ、補強資金が豊富なチームが常勝となってしまい、面白くない。
育成球団である
広島人気が高まったのは、この傾向への反発もあったと思うが、今年はだいぶ厳しくなった。
巨人の選手層の厚さの象徴が、7月5日の試合でホームランを打った巨人・
若林晃弘。その陰に、ファームでの
村田修一コーチの教えがあったらしい。
「お前はなんのために打席に立っているんだ。バットを持っているんだ。振るためだろ」
村田らしいな。かっこいいが、偉そうだ。でも、これが、この男のいいところ。名言だと思う。
俺もコーチ時代、投手に使いたかった。
「お前はなんのためにマウンドに立っているんだ。ボールを持っているんだ。投げるためだろ」
津田恒実の「弱気は最大の敵」と同じだね。弱気になると、どうしても腕をしっかり振れなくなる。
ただ、村田。“お前”を使っちゃダメらしいぞ。“君”か“あなた”にしとけよ……。
ゴメン、
与田剛監督、ジョークです(このネタ自体、古いか)。
セで巨人を追う可能性を感じるのは、DeNAだ。7月5日からの対巨人直接対決で1勝2敗と負け越したのは残念だったが、
今永昇太、
上茶谷大河、
大貫晋一と先発が辛うじて3枚は計算できるし、看板倒れのクリーンアップも、ほんの少しだけだが、元気になっている。
何より、このチームはブルペンだ。特に「お前、いや君はなぜきょうもマウンドに立っているんだ」と聞きたいくらい投げまくっているエスコバーだ。これまで42試合登板、5月はいまいちだったが、6月は15試合に投げ、3勝9ホールド、防御率が1.84。交流戦のDeNA勝ち越しの立役者だ。左腕で160キロも出ているし、歴代屈指の左腕リリーバーと言っていいんじゃないかな。
「70試合でも投げたい」と言っているらしいが、簡単に超えちゃいそうだ。これほどの投手が勝ちゲームも負けゲームも、さらにイニングまたぎもありで大安売りみたいに投げまくっているのは、すごい。
同じ左腕の
石田健大もいい。石田は先発に未練があると思うが、よくやってる。2017、18年と2年連続開幕投手だけど、いずれも負け投手で、その負けがきっかけでチーム全体がリズムを壊したところもあった。そのリベンジの思いもあるんだろう。いい経験はしていると思うし、先発に戻っても生きるはずだ。
ただ、ちょっとリリーフを酷使し過ぎじゃないかな。ひとまず5割には近づいているし、
ラミレス監督もCSの予行練習みたいな投手起用はやめ、まずは143試合を戦い抜くことを考えてほしい。いまエスコバーを二軍で調整させているのも、そのため、とは思うけどね。
写真=BBM