
大船渡高・佐々木朗希は一戸高との3回戦で6回参考ノーヒットノーランで、チームを4回戦進出へと導いている
夏本番。いよいよエンジンがかかってきた。
一戸高との岩手大会3回戦(7月18日)で先発した大船渡高・佐々木朗希は6回参考ながら1四球、13奪三振でノーヒットノーランを達成。試合は10対0の6
コールドで4回戦進出を決めている。
遠野緑峰高との初戦(2戦)では2回を投げて、最速147キロの「試運転」。この試合は初回から150キロ超を連発すると、2回にはこの日最速の155キロをマーク。追い込んでからのギアチェンジは圧巻であり、分かっていても当たらない規格外のレベルにある。今後、さらにステージが上がれば、球速も比例して上がっていくはず。本人は意識しないというが、無意識のうちにテンション最高潮の160キロ超も見られるかもしれない。

この日の最速は155キロ。自己最速に8キロ及ばない数字も、追い込んでからのギアチェンジには見どころがある
4回戦は春準優勝でシード校の盛岡四高。中1日で迎えるこの一戦が一つのヤマ場と言えるだろう。とはいえ、大船渡高は春の県大会初戦敗退の面影はなく、一戦ごとに力をつけている印象。佐々木が「この仲間と甲子園に行きたい」という思いが当然、チームメートにも届いており、一体感は高まるばかりだ。
昨夏は
吉田輝星(
日本ハム)を擁した金足農高(秋田)が甲子園準優勝と旋風を巻き起こした。県立校で、絶対的エースをメンバー全員で援護しようとするチームカラーは、大船渡高とかぶる部分があり、佐々木も意気に応えようとテンションが上がっている。

3回戦の試合会場となった花巻球場の開門前には長蛇の列。平日にも関わらず、集客力も超高校級である
さて、この日は「波乱」があった。今春のセンバツに出場した強豪・盛岡大付高が一関工高との3回戦で敗退。大船渡高が順調に勝ち上がれば、準決勝で同校と対戦する可能性があっただけに、今後の大会の展開を大きく左右するかもしれない。
ただ、大船渡高にとって35年ぶりの甲子園までの道のりはまだ、3分の1が終わったのみ。残り4戦。過去に成長痛などで苦しんだ佐々木の起用法について、大船渡高・國保陽平監督はこれまで慎重な姿勢を貫いてきた。夏もその方針は変わらないというが、4回戦(20日)と準々決勝(21日)はこの夏初の連戦となる。負ければ終わりの夏。控え投手が先制を許し、追う展開は回避したいところ。やはり、先発は佐々木で、試合の流れを作ってから救援陣に託すのが賢明だろう。

ネット裏にはNPBだけでなくMLBのスカウトも集結。すでに日本ハムがドラフト1位指名を表明し、何球団が重複するか注目される
準々決勝を突破すれば、23日に準決勝、24日に決勝という過密スケジュール。國保監督は「(佐々木の)将来がありますので……」が口グセ。先発投手は当日の朝に決断することが多く、眠れない日々が続いていきそうだ。
写真=川口洋邦