7月13日から13日間、東京ドームで行われる第90回都市対抗野球大会。全国12地区の予選を勝ち抜いた36チームが出場する栄光の「黒獅子旗」をかけた社会人野球の祭典です。週刊ベースボールONLINEでは、都市対抗野球大会にまつわるさまざまな情報や知られざる秘話を『JABA公式サポーター』が日替わりで発信していきます。本日は豊島わかなさんです。 心臓部といえる重要な役割

都市対抗野球大会を陰から支える運営スタッフ
13日間にわたる長い戦いも、いよいよ残すところあと2日。本日の試合でベスト4がすべて決まり、黒獅子旗奪取に向けての戦いはさらに熱を増していきます。
そんな激戦の都市対抗野球大会の運営を、陰ながら支える男たちがいます。今回は、さまざまな思いを抱きながら、大会運営に携わる方たちにスポットライトを当てたいと思います。
関係者の方にしか知られていないことだと思いますが、大会運営の大部分を、惜しくも予選で敗退してしまったチームと、試合に負けてしまったチームのマネジャーさんたちが担います。私たちが普段、目にしている試合速報、JABA会員の受付け、試合前後のブラスバンドの音止め、来客対応といった大会運営のいわば心臓部ともいえる重要な役割を、手分けして行っています。

試合速報の作業風景
今年の大会運営の中心となっているのが、日本野球連盟の関東地区連盟に所属している石黒基輝さんです。石黒さんは、かつてピッチャーとしてJR東日本に在籍し、現在は関東地区連盟にて事務局員をしています。
「予選敗退したチームのマネジャーを集めて運営を行っているので、彼らの大会に懸ける思いを汲みつつ、メンタル面のサポートも行っています。出場チームが不便なく試合に挑めるように努めています」
大会運営を行うのは今年で3回目と話す石黒さん。運営をするにあたり、大変なことはありますか? と質問したところ、
「どのチームのマネジャーたちも気持ちを切り替えて前向きに仕事に取り組んでくれているので、逆に助けられていることのほうが多いです」
と仲間への感謝の言葉とともに、優しい笑顔を見せてくださいました。

セガサミー野球部マネジャー・川上哲矢さん(左)、関東地区連盟の石黒基輝さん(右)
予選での悔しい思いを抱きつつも、大会運営のサポートに励んでいるのが、セガサミー野球部のマネジャーを務めている川上哲矢さんです。
川上さんは、九州学院高時代からマネジャー業一筋の大ベテランです。セガサミー野球部のマネジャーを務めて12年目となる今年、運営に携わることで
「大会の裏側を実際に目の当たりにすることで、多くの人の支えがあって、選手が主役になれているということをあらためて実感しています。本選出場したかったという気持ちはありますが、この経験を通して人として得るものがあったなと感じています」。
川上さんは、自チームの選手が他チームの補強選手として出場している試合を見て、
「普段はベンチから見ている景色をスタンドから見るのは、とても新鮮な気持ちです。ベンチ内にいるときは選手のさまざまな部分に目がいきますが、スタンドにいるときは選手のファン、社会人野球のファンという目線で観戦しています」
と大きな笑顔で話していました。
石黒さんは、これからの社会人野球を、子どもたちからあこがれの存在となるようにしていきたいと語ります。
「まだ一般的には認知度の低い社会人野球ですが、多くの人に触れてもらえるよう、時代に合わせた活動を今後は取り入れて広めていきたいです。そのためにもまずは運営を通して得たスタッフ間の絆を大切して、多くの人に楽しんでもらえるような大会運営を目指していきます」
まさに縁の下の力持ち。各々、熱い思いを持って大会運営に挑む姿は、選手同様輝いて見えました。
公式サポーター日本野球連盟YouTubeチャンネル https://www.youtube.com/channel/UC26D0n0-QuxyIghG0WqbN0A
PROFILE

左から豊島わかなさん、田中優美さん、若菜奈津美さん/写真=BBM
とよしま・わかな●1986年12月14日生まれ。愛知県出身。ニックネームは「豊ちゃん、わかちゃん」。趣味は昼寝、特技は書道。
たなか・ゆみ●1992年5月21日生まれ。神奈川県出身。ニックネームは「ゆーみん」。趣味は動物とたわむれる、特技は脚が柔らかいこと。
わかな・なつみ●1990年10月24日生まれ。神奈川県出身。ニックネームは「なっちゃん」。趣味も特技もダンス。