
完全試合を達成して笑顔を浮かべる今井
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は1978年8月31日だ。
この日、行われた
ロッテ戦(県営宮城)、先発のマウンドに上がった阪急の
今井雄太郎は先頭の
弘田澄男を空振り三振に斬って取ると、続く
得津高宏を一ゴロ、三番・
山崎裕之は投ゴロに。得意のシュートとスライダーが切れた。
今井の手はプロ野球の投手としては小さく、指も長くない。ボールをスムーズに挟むこともできず、フォークは投げていない。
「この球を投げておけば、まず打たれないという球ができたことが勝てるようになった秘密。それがシュートだったんです」と今井。そのシュートがこの日は切れた。
「(相手先発の)村田(兆治)より先に点を取られないように、としか考えていなかった」
目の前の相手のことだけを考えて投げていったら、気が付けば8回まで完全試合。ここで初めて意識したと今井は言った。
9回先頭の代打・
末永吉幸は、この試合3つ目の三振。続く
榊親一は投ゴロで、いよいよあと一人となった。打席には、代打や指名打者で高打率を残していた
土肥健二。
「最後は悔いのないボールで行くぞ」と
中沢伸二捕手に声を掛けられ、シュート。思惑どおり土肥は詰まって投ゴロ。投球数はぴたり100球、内野ゴロ18の見事な完全試合だった。
写真=BBM