長野は2度目の入団拒否
平成20年、2008年のドラフトでは、注目選手の筆頭だった新日本石油ENEOSの
田沢純一は12球団に「指名お断り」を申し入れ、メジャー挑戦を表明。4年ぶりに高校生と大学生、社会人が一括で開催されるドラフトだったが、その直前の週刊ベースボールでも大々的な予想は展開されず、東海大相模高の
大田泰示、東海大三高の
甲斐拓哉、亜大の
岩本貴裕、日本通運の
野本圭ら4選手をインタビューするにとどまった。
【2008年・12球団ドラフト1位】
横浜
松本啓二朗 ソフトバンク 大田泰示→
巽真悟 ヤクルト 赤川克紀 楽天 野本圭→
藤原紘通 広島 岩本貴裕
ロッテ 木村雄太 中日 野本圭
日本ハム 大野奨太 阪神 松本啓二朗→藤原紘通→
蕭一傑 オリックス 甲斐拓哉
巨人 大田泰示
西武 中崎雄太 (→は外れ1位)
結果的には大田と野本に加え、早大の松本啓二朗に、それぞれ2球団が競合。野本を外した楽天、松本を外した阪神の外れ1位にはNTT西日本の藤原紘通が重複し、藤原も外した阪神は奈良産大の蕭一傑を指名した。
一方、「(ドラフトが終わる)最後の最後までドキドキしていました」という田沢は、見事(?)1球団からも指名されずメジャーを目指した。また、2年前のドラフトで入団を拒否した東京ガスの木村雄太とホンダの
長野久義はロッテが1位、2位で指名。木村は希望がかなえられた形だが、長野が熱望する巨人は1位で大田を指名して獲得に成功、2位の指名を前に、ウエーバー順では巨人より先だったそのロッテに指名されてしまったのだ。
長野は2度目の入団拒否。長野は翌09年のドラフトで巨人から1位で指名され、競合する球団も現れなかったことから、“三度目の正直”で3年越しの悲願を果たしている。
ドラフト会議が初の一般公開

菊池には1巡目で6球団が競合し、西武がクジを引き当てた
続く平成21年、09年のドラフトは、花巻東高の
菊池雄星が主役。日米20球団による争奪戦とも言われたが、菊池はドラフト前に記者会見を開いて、国内でプロ入りすることを表明した。
週刊ベースボールの予想も各球団が菊池を指名するかどうかに集約され、その内訳は指名有力が6球団、様子見が4球団、指名なしが2球団。そして迎えたドラフトは、45回目にして初めて一般公開され、招待されたファンの前で開催され、指名選手が発表されるたびに大きな歓声が起こった。
【2009年・12球団ドラフト1位】
オリックス
古川秀一 横浜
筒香嘉智 ロッテ
荻野貴司 広島
今村猛 西武 菊池雄星
阪神 菊池雄星→
二神一人 ソフトバンク
今宮健太 ヤクルト 菊池雄星→
中沢雅人 楽天 菊池雄星→
戸村健次 中日 菊池雄星→
岡田俊哉 日本ハム 菊池雄星→
中村勝 巨人 長野久義
(→は外れ1位)
週刊ベースボールで指名有力とされながらも、菊池の指名を回避したのがオリックスで、逆に指名を敢行したのがヤクルト。2年ぶりに6球団が1選手に競合したが、一括開催で6球団が競合するのは、平成7年、1995年に7球団が競合したPL学園高の
福留孝介(近鉄1位も入団拒否、98年に中日1位)以来14年ぶりのことだった。
写真=BBM