指名選手の断言に至らず

単独で西武に1位指名された森
平成25年、2013年のドラフトは、ウエーバーの優先順はオールスターの勝敗で決めていたものが、1勝1敗1分、得失点差もなかったため、両リーグの理事長による“あみだクジ”で決める異例の展開になった。
予想も困難を極めた。高校生は桐光学園高の
松井裕樹が、大学生では九州共立大の
大瀬良大地が、社会人ではJR東日本の
吉田一将が、それぞれ有力候補の筆頭だったが、全体的には有力選手が少なく、各球団が競合を回避する傾向が見られたためだ。もし競合して、抽選で敗れるリスクを考えれば、単独での指名を狙っていくのが現実路線。最後まで候補を絞りきれず、ドラフトのテーブルに着いてから決める球団が出るケースも考えられた。
それでも、週刊ベースボールは果敢に(?)予想を展開している。松井、大瀬良、吉田が1位で競合。富士重工業の
東明大貴、セガサミーの
浦野博司、国学院大の
杉浦稔大、東京ガスの
石川歩、大阪桐蔭高の
森友哉を単独指名の候補として挙げた。野手は捕手の森のみで、ほかは投手だ。
一方で、球団の指名選手に関しては、なかなか断言には至らず。断定したのは
DeNAと
ロッテで、ともに松井の指名を予想。2、3人に絞り込めたのは5球団で、
日本ハムは松井と吉田、
ヤクルトは松井と大瀬良、
オリックスは大瀬良と吉田に加えて杉浦、
ソフトバンクは松井と大瀬良、
阪神は吉田と大瀬良を、それぞれ候補に挙げた。その他の5球団については、指名の確定はドラフト当日にもつれ込み、特に
巨人は競合を回避する可能性を示唆している。
【2013年・12球団ドラフト1位】
日本ハム 松井裕樹→
柿田裕太→
岩貞祐太→
渡邉諒 ヤクルト 大瀬良大地→杉浦稔大
オリックス 吉田一将
DeNA 松井裕樹→柿田裕太
ソフトバンク 松井裕樹→杉浦稔大→
加治屋蓮 中日 松井裕樹→
鈴木翔太 ロッテ 石川歩
広島 大瀬良大地
西武 森友哉
阪神 大瀬良大地→柿田裕太→岩貞祐太
楽天 松井裕樹
巨人 石川歩→
小林誠司 (→は外れ1位)
競合を回避したかったはずが……
結局、松井に5球団、大瀬良に4球団が競合。吉田はオリックスが、森は西武が、それぞれ単独指名に成功した。松井は楽天が、大瀬良は広島が、ともに交渉権を獲得。松井と予想していたロッテは石川を指名、競合を回避すると見られていた巨人も石川を指名して、石川に2球団が競合する結果に。それまでのようにロッテはクジ運の強さを発揮して、巨人が抽選で敗れた。その外れ1位で巨人が獲得したのが捕手で日本生命の小林誠司だ。
外れ1位でも杉浦に2球団、日本生命の柿田裕太に3球団が競合。外れ外れ1位でも横浜商科大の岩貞祐太に2球団が競合して、競合のリスクを踏まえて回避するどころか、抽選が繰り返されるドラフトとなった。
前年のドラフトでは花巻東高の
大谷翔平を獲得した日本ハムは、ペナントレースは最下位に沈み、ドラフトでは松井、柿田、岩貞と抽選で3連敗したが、8位まで選手の指名を続けた。一方で、初の日本一に輝くことになる楽天は、松井の交渉権を獲得した上で、最多の9選手を獲得している。
写真=BBM