ドラフト会議の見せ場は、指名が競合した選手の交渉権を獲得するための「クジ引き」だ。では、1位で指名した選手が競合した場合の「交渉権の獲得確率」はどのチームが最も高いのだろうか? 各チームの獲得確率を調べてみた。
各球団の競合クジの勝率

昨年のドラフトで注目の大阪桐蔭高・根尾、藤原は競合となったが、それぞれクジでの勝率が高い中日、ロッテが獲得した
現体制となった2005年から2018年までのドラフト会議の結果から、各球団の1位指名が競合した場合の交渉権の獲得率を以下にまとめてみた。
※対象は2005~2018年までの1巡目指名選手(外れ1位を除く) ●セ・リーグ
巨人:競合回数10回うち獲得数2回(20.0パーセント)
DeNA:競合回数11回うち獲得数1回(9.1パーセント)
阪神:競合回数12回うち獲得数2回(16.6パーセント)
広島:競合回数10回うち獲得数3回(30.0パーセント)
中日:競合回数11回うち獲得数5回(45.4パーセント)
ヤクルト:競合回数11回うち獲得数2回(18.1パーセント)
セ・リーグでは中日の獲得率が45.4パーセントで最も高く、1位指名が競合した11回のうち5度当たりクジを引いている。次いで2年連続で当たりクジを引いている広島で30.0パーセント。その一方でクジ運がないのがDeNAだ。2005年以降、一度しか当たりクジが引けておらず、現在も2010年から7連敗中。また、ヤクルトも2009年から9連敗とツキがない状態だ。
●パ・リーグ
西武:競合回数6回うち獲得数2回(33.3パーセント)
ソフトバンク:競合回数12回うち獲得数4回(33.3パーセント)
楽天:競合回数14回うち獲得数6回(42.8パーセント)
ロッテ:競合回数11回うち獲得数6回(54.5パーセント)
日本ハム:競合回数12回うち獲得数6回(50.0パーセント)
オリックス:競合回数9回うち獲得数1回(11.1パーセント)
パ・リーグはなんとロッテが54.5パーセントと好調だ。昨年も
藤原恭大を3球団競合の末に獲得しており、今年もその勢いが続くか注目だ。また、大物の指名が目立つ日本ハムも12回競合しながら5割の確率で交渉権を獲得。楽天も2012年から2014年まで3年連続で当たりクジを引いて、42.8パーセントと高い。オリックスが11.1パーセントと低めであるものの、セ・リーグのチームと比べるとパ・リーグのチームのほうが交渉権を獲得できる可能性は高いかもしれない。
外れ1位も加えるとロッテが圧巻の数字に……
では、「外れ1位」のクジ引きの結果も加えるとどのような数字になるのだろうか? セ・パそれぞれでまとめてみた。
●セ・リーグ
巨人:競合回数15回うち獲得数3回(20.0パーセント)
DeNA:競合回数17回うち獲得数4回(23.5パーセント)
阪神:競合回数20回うち獲得数5回(25.0パーセント)
広島:競合回数13回うち獲得数4回(30.7パーセント)
中日:競合回数13回うち獲得数6回(46.1パーセント)
ヤクルト:競合回数16回うち獲得数5回(31.2パーセント)
●パ・リーグ
西武:競合回数8回うち獲得数3回(37.5パーセント)
ソフトバンク:競合回数17回うち獲得数5回(29.4パーセント)
楽天:競合回数18回うち獲得数9回(50.0パーセント)
ロッテ:競合回数16回うち獲得数11回(68.7パーセント)
日本ハム:競合回数17回うち獲得数6回(35.2パーセント)
オリックス:競合回数13回うち獲得数1回(7.6パーセント)
外れ1位の抽選結果も加えたところ、ロッテの成績が68.7パーセントにまで上昇。実はロッテは外れ1位のクジ引きでは2005年以降負けなしの5連勝中。1位指名の交渉権を逃しても、外れ1位では確実に希望の選手を獲得している。また、パでは楽天も外れ1位のクジ引きに強く、4回中3回で当たりを引いている。
1位指名だけで見た場合は5割の確率で交渉権を獲得している日本ハムは、外れ1位になると成績が悪くなり、2005年以降は5連敗中。最初のクジ引きで勝負を付けないと厳しいドラフトになるようだ。
一方で、1位指名の抽選結果が芳しくないものの、意外と外れ1位ではうまく立ち回っているのがDeNAとヤクルト。2005年以降は共に5回中3回で交渉権を獲得している。最悪なのがオリックスで、1位指名・外れ1位指名の両方でクジ運に恵まれていない。今年のドラフトで悪い流れを変えたいところだ。
今年のドラフト会議では大船渡高・
佐々木朗希、星稜高・
奥川恭伸、明大・
森下暢仁に指名が集まるとされている。佐々木の指名を公言している日本ハムは、1巡目でのクジ運の強いチーム。佐々木の争奪戦に中日、楽天、ロッテが加われば、クジ運の強いチーム同士が争う白熱の抽選になるだろう。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM