
立大野球部創部110周年記念祝賀会(11月23日)で、2020年の新主将・宮慎太朗は出席者の前で、決意を述べている
2020年への思いを新たにした。
「多くの先輩方が悔しい思いをした分、自分たちが来年、神宮で晴らしたいと思います」
約700人の出席者の前で堂々とV宣言したのは、新チームから立大の主将を務める宮慎太朗(3年・市船橋高)内野手である。
11月23日、東京都内のホテルで「創部110周年記念祝賀会」が盛大に行われた。
立大は1909年創部。東京六大学リーグ戦での優勝回数は13度だ。法大と早大の45度、明大の40度、慶大の37度からは大きく引き離されている(東大は優勝経験なし)。
もちろん、勝つことを目的としているが、立大には変わらない精神がある。2014年から母校を率いる溝口智成監督は壇上で言った。
「立教の役割は、社会に必要とされる人材を輩出すること。社会で活躍する人を育てる訓練の場。今も昔も変わらない伝統を守りながら、野球部を運営し、活動しています。ただし、社会へ出るにあたり、努力した成果として、勝つ喜びを知ることも重要。110周年を新たなスタートとして、優勝に絡めるチームを作り、飛躍をしていきたいと思います」
指揮官の横で神妙な面持ちで耳を傾けていたのが、新キャプテンの宮である。
「すごい大学なんだな、とあらためて感じました。多くの方の支えがあって、素晴らしい環境で野球をやらせていただいていることを、感謝したいです。OB、大学関係者の方からは『優勝してほしい!』と。僕たちの代は、リーグ優勝を知る最後の代なんです。後輩たちにも良い思いをさせたい」
立大は2017年春に1999年秋以来、35季ぶりのリーグ優勝。全日本大学選手権では59年ぶりの頂点に立った。当時1年生の宮はボールボーイとして、歓喜の瞬間を神宮で味わっている。自身は2年春にリーグ戦デビューし、今秋、初めて規定打席に到達。堅実な遊撃守備に、シュアな打撃が持ち味である。市船橋高から指定校推薦入試で入学し、地道に努力を重ねてきた模範的な学生である。
すでに、2020年のチームスローガンは『煌奮迅(こうふんじん)』に決まり、新体制が本格始動している。「煌」「奮迅」という2つの言葉を合わせ「炎の如く一つの束となって、祭りのごとく盛り上がり、どんな状況でも優勝へ向かって突き進んでいく」と、宮主将は説明した。
祝賀会では立大OBの
長嶋茂雄氏から「立教らしい雰囲気を大切に、貴重な伝統をしっかり守り続けていくことを願っています」とのメッセージが届いた。まさしく、大先輩からの言葉を胸に秘め日々、精進を重ねていく。
文=岡本朋祐 写真=BBM