
さわやかな笑顔を見せてくれた東
プロ野球選手は“見られる”存在であるとはいえ、モデルではない。自身の価値はプレーで示せば、それでいいのだ。なので、取材時の撮影でポーズをお願いすると、若手選手などは表情が固くなったり、ぎこちなくなることはよくある。
しかし、
DeNAの
東克樹はこちらのリクエストどおりに表情をつくり、照れることなくポーズを決めてくれる。取材する側からすれば、非常に助かる存在だ。普段から私服などの取材が多いからなのか、カメラを前にした対応力はズバ抜けている。同じDeNAでは
神里和毅も同様だ。
東はインタビューでもハキハキと明確に自分の思ったことを伝えてくる。ルーキーイヤーで11勝を挙げ新人王に輝きながら、左ヒジの違和感によりわずか4勝に終わった今シーズンを客観的に振り返ってくれた。
そんな入団2年目の左腕の表情が曇ったのが「もし、2019年に1年目と同じ勝ち星を挙げていたなら、ベイスターズは優勝できたと思うか?」と少々、意地悪な質問を投げ掛けたときだった。
「それは、いろんな人に言われましたよ」と苦笑しながらも、表情には悔しさの色が浮かんだ。仮に今季、1人で貯金6(11勝5敗)を稼いだ前年の成績だったならば、
巨人との優勝争いの行方は違うものとなっていたかもしれない。東は「何を言っても言い訳になってしまいます。来年やり返します」とリベンジにかける思いをそっと胸にしまった。
左ヒジは順調に回復。今オフは肉体改造、フォーム修正など意欲的に「変化」を追い求めている。
今永昇太を軸に、
上茶谷大河、
濱口遥大、
石田健大、
平良拳太郎ら先発投手の枚数はいる。ここに東が加われば、優勝を狙えるだけの陣容となるはずだ。2020年、東の復活がベイスターズ躍進のカギを握るといってもいいだろう。
文=滝川和臣 写真=大賀章好