
第2クールに突入した春季キャンプで汗を流す佐々木朗
「外はいいですね。こういう雰囲気が好きなんですよ。小さいころはこういう環境だったので。けっこう外でボケーっとしているのが好きなんです」
ロッテのドラフト1位、“令和の怪物”として大きな注目を集めている
佐々木朗希をインタビューしたのは1月下旬。新人合同自主トレが佳境を迎えていたロッテ浦和球場で取材に応じてくれた。
通常、ロッテ浦和で選手のインタビュー取材をする場合、室内練習場にある一室で行われることが多い。この日も同じ場所で行おうということを事前に広報担当と確認していた。
しかし、グラウンドでの自主トレが終わり、いざインタビューという段になると、佐々木朗は「“ここ”でやりませんか」と言ってきた。“ここ”というのはロッテ浦和球場の三塁ベンチだ。1月下旬にしては暖かな日ではあったが、インタビューは数十分に及ぶ。春季キャンプを前に風邪でもひいてしまっては取り返しがつかない。担当広報と「本当にここでいいのか」と何度も確認したが、「大丈夫です」と譲らなかった。
整備が行われるグラウンドを眺めながらのインタビュー取材が終わると、笑顔で口にしたのが冒頭の言葉を口だ。空が抜けるように広く開放感のあるロッテ浦和球場が、自らの原風景と重なっていたのだろう。そんな空間に少しでも長く居たいと思ったのだ。
それを聞いた担当広報が「石垣島もこんな感じだよ。空が広くて」と伝えると、「楽しみですね」とまた笑顔を見せた。佐々木朗にとってもちろん初めての春季キャンプ。ちょっと雲は多いもののロッテ浦和以上に広い石垣島の空の下、どんな思いで日々、汗を流しているのだろうか。
文=杉浦多夢 写真=高塩 隆