
プロ入り6年目、確かな成長を見せる栗原
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、開幕が延期となっているプロ野球。3月23日には20日から行われていた練習試合の一定期間中止が発表された。
ソフトバンクは24日から予定されていた練習試合が計10試合中止に。23日は大阪への移動日ということもあって、バタバタと対応に追われた。現状では4月24日の開幕を目指していくとのことだが、まだまだ先行きは不透明だ。それでもチームは、いつ開幕を迎えてもいいように、今ある状況の中で準備していくしかない。
特に、ここまで順調に来ている選手には、このままの状態をキープしてほしいものだ。ソフトバンクでは、
栗原陵矢もその1人。今季6年目を迎える背番号31は、今春キャンプから好調なアピールを続けているが、ここ数日の練習試合では、さらにいい活躍を見せていた。
力強いバッティングが最大の魅力だろう。3月22日の
ロッテとの練習試合(PayPayドーム)でもソロホームランを放った。「少しだけ(
大勢を)崩されたけど、強いスイングでうまく反応して打てたと思う」。甘く入ってきた111キロのカーブを、うまくすくいあげての一発だった。
打撃センスも光る。今春のキャンプで
中村晃にインタビューしたときのことだ。自主トレの話から、ともに過ごした栗原について話が及ぶと、「能力が高い。(栗原と比べたら、今の自分は)負けていると思いますよ」。球界屈指の打撃職人が、自分にないものを持っていて「見ていて勉強になるところがたくさんある」と教えてくれた。
守備の面でも、今年はこれまで以上に、本職の捕手だけでなく、一塁に、外野にと実戦経験を積んでいる。捕手へのこだわりは、もちろんある。だが今は「どこのポジションでもとにかく試合に出て、結果を出すことが第一」と語り、「試合に出られるならどこだってやります!」。熱い思いを持って懸命に取り組む姿勢に、強い覚悟がにじむ。
ほかにも、いつも変わらない元気の良さや、人懐っこくて明るいキャラクターも目を引く。ハードな練習のあとでも輝くような笑顔で返ってくるあいさつに、こちらの気分もさわやかになる。攻守プラスアルファで、注目ポイントが尽きない栗原。選手層の厚いソフトバンクゆえの難しさはあるが、今年はしっかりと成長を示しているだけに、ベンチに置いておくにはもったいない存在だ。
文=菅原梨恵 写真=湯浅芳昭