5年ぶりの都市対抗出場を目指すJX-ENEOSの新主将・川口凌はゴロ捕球の練習を1球1球、丁寧にこなしていた
6年ぶりに復帰したJX−ENEOS・
大久保秀昭監督は、チームスローガンを「ドラマティックチェンジ」とした。
同社は昨年まで4年連続で都市対抗出場を逃している。指揮官は劇的な変化を求めているが、新主将選出についても「チームを変えるヤツ、出てこい!」と選手たちに訴えた。
そこで、真っ先に手を上げたのが入社2年目の川口凌(法大)だった。
「迷いましたが、何かしら動かないといけない、と。昨年はチームとしても、自分としても不甲斐ない結果。若い選手も多いので、まずは、自分が変わらないといけない」
横浜高出身。同期には高卒でプロ入りした
淺間大基、
高濱祐仁(ともに
日本ハム)、明大からプロ入りした
渡邊佳明(
楽天)がおり、高いレベルの中で切磋琢磨してきた。法大では4年秋に打率.373で12季ぶりのリーグ優勝に貢献。大学4年間で73安打を放ち、卒業後は名門・JX−ENEOSへ進んだ。
4大会連続で出場した昨年11月の日本選手権では「二番・遊撃」で出場したが、2試合で7打数無安打と厳しい現実を味わった(チームは2回戦敗退)。2年目の今季、主将とはいえ、定位置が確約された立場にはない。今年からコーチ兼任で10年目のベテラン・渡邉貴美男(国学院大)との競争に勝たなければならない。大久保監督は新主将について「意気込みを感じる。バッティングも良くなっている」と評価しながらも、「(試合における)勝率を考えると……。渡邉はポイント、ポイントで良い働きをする」と、川口が信頼を得たとは言えない状況だ。課題である守備力アップへ、ゴロ捕球を1球1球、丁寧にこなす姿があった。
「勝利を求めるのが、ENEOSというチーム。勝つための準備をしていきたい」
高校、大学、社会人とエリート街道を歩んできた背番号0。都市対抗出場をかけた西関東予選は9月中旬に控えるが、5年連続敗退は絶対に許されない、厳しい状況に置かれている。10月で24歳となる川口。野球人生のターニングポイントを迎えようとしている。
文=岡本朋祐 写真=大賀章好