スポーツの力を感じ始めている

菅野には感謝だね
全国の大部分の少年野球チームが、全体練習すらできないと聞く。
本当に、この新型コロナウイルスというのは、とんでもない。
俺たちおっさんは、彼らの1年1年、いや1日1日がどのくらい貴重で、そして、友達がどれくらい大事か、遠い昔だけど、同じような時間を過ごしているので分かる。
そんな中で野球界も動き出した。
俺の古巣の1つ、
巨人では
菅野智之が言い出し、
原辰徳監督をはじめ、
阿部慎之助二軍監督、
坂本勇人、
丸佳浩が1人1000万円、総額5000万円を寄付し、このとき開設された「東京コロナ医療支援基金」に1週間もしないうちに3000万円以上が集まったと聞いた。
菅野が言い出した、というのがいい。原監督からだと、なんだか命令っぽくなるからね。
すぐ小池百合子知事が会見で取り上げ、感謝していたが、金額もそうだけど、プロ野球選手の影響力って大きいなと感じた。
もう1つの古巣、
広島カープも
佐々岡真司監督をはじめ、
大瀬良大地、
薮田和樹、
森下暢仁がユニフォーム姿で病院に慰問に行った。
これもいいな。
なかなか緊急事態が解除にならないが、少しずつ“スポーツの力”“プロ野球の力”を見せてくれている。なんだかうれしくなった。
現役時代は感じなかったが、ユニフォームの力はOBになると強く感じる。
特に子どもたちだね。俺は2月が最後で、野球教室はすべて中止か延期になっているけど、いつも、父兄はさすがに俺のことを知ってるが、子どもたちはまったく分からない。会場にすうっと行っても「なんだ、あの白髪の背の高いおじさんは」くらいの目でチラリと見るだけで反応が薄い。
だけど、あれはもう魔法みたいなものだね。指導する際、OBは古巣のユニフォームを着てやるんだが、ユニフォームを着て現れた途端、子どもたちの目がピカンと輝いて、声をかけたときの返事もまたいい。
近づいてきて、ユニフォームを触り、
「うわあ、本物だ」
という子もいる。
俺はそのとき「そうだ、本物だよ」と言いながら「俺も本物の
川口和久だよ」と心の中で言う。
たぶん、名前を言っても子どもたちは分からないからね。
今、選手たちは映像でもジャージで出てくることが多い。緊急事態宣言中は、いろいろなチームでの決まりがあるんだろうから、少し落ち着いてからでもいいんだが、ユニフォーム姿でメッセージを送ったり、たとえばキャッチボール、ピッチング、ノックなどの映像も公開してほしい。
選手が思っているより、ユニフォームの力はずっと強く、子どもたちを勇気づけると思うから。
ああ、そう思っていたら今度は
岩隈久志。大丈夫か、そんなに寄付して。
でも、みんなかっこいいね。