一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 巨人ダブルヘッダー頻発のワケは?

表紙は夏の甲子園開会式
今回は『1971年8月30日号』。定価は90円。
定期の週べで高校野球の雰囲気写真が表紙になったのは、709号にして初めてだった(個人はあった)。
巻頭からも甲子園特集。優勝は桐蔭学園高だが、おそらく今回は福島・磐城高旋風があったからだろう。小さな大エース・田村隆寿の快投で準優勝、日本中がわいたときだ。
とはいえ、これは、さほど詳しい記事もないので、スルーで。
この年のプロ野球の特徴は
巨人のダブルヘッダーが頻発していたことだ。雨などで流れると、必ずと言っていいほどダブルにし、消化していた。
球団関係者は「7、8月が稼ぎどきだから」と言っていたが、前年は終盤に1度ダブルヘッダーがあっただけなのに、この年は8月までに11回あった。
当時、A席でシングルが850円、2試合の通券が700円。経営的にはダブルは損がある。
理由は明白。オフに日米野球のオリオールズの来日があったためだ(10月23日スタート予定)。巨人関係者はメジャー最強とも言われるオリオールズとの対戦を日米決戦、将来的な世界選手の足掛かりと張り切っていた。
ただ、だったら別にダブルの理由もそういえばいいのに、はっきり言わない。
ロッテの放棄試合の後日談もあった。
7月21日にコミッショナーの裁定が出たのだが、ロッテには200万、濃人監督へは15万円の罰金、さらに阪急が受けた損害をすべて賠償と命じられた。
阪急からの損害請求は2万1000人の入場者の払い戻し、警備、照明、アルバイトの売り子の日当分などで450万円ほどだったという。
ほか阪急ファンに破壊されたバスについてはバス会社に修理代80万円を請求された。
前回あった
阪神・
高山忠克の失踪事件についても書いておく。
夜遊びが派手で、クラブ、バーにかなりの借金があった選手。ヤクザに追われ、逃げたのではとウワサされたが、それは事実ではなかった。
ことの起こりは、にわかには信じられないがカラーテレビだった。友人がカラーテレビを20万で購入する際、10万しかなかったということで、高山ともう一人が保証人になった。
ところが友人が金を支払わず、その電気店がどんな店か分からないが、利子をつけ20万円を払えと要求。払わぬとなったら「阪神の選手だから信じたのに」と球団オーナーに手紙と高山の給料差し押さえ要求を送った。
高山は給料15万円ほどだが、ほかにも飲み屋などの借金などがかさみ、とても払えない。球団も怒り、援助はしなかった。
それで必死に友人などに金策に走り、連絡が途絶えたところで失踪扱いとなって、無期限失格選手になった、ということらしい。
結局、家族が借金をすべて払い、高山は知人の紹介で、ガソリンスタンドで働き始めたという。
知り合いは「あいつは人が良く、すぐだまされてしまう」と嘆いていた。
では、また月曜に。
<次回に続く>
写真=BBM