阪神のジャスティン・ボーアが調子を上げている。開幕から18打席連続無安打で球団記録を更新してしまったが、7月に入ってから好調で、気が付けば本塁打と打点はチームトップ。かの
ランディ・バースも序盤に苦しんだ後に復調し、1年目から目覚ましい活躍を見せたが、果たしてボーアはどこまで成績を伸ばすのだろうか? 偉大な先人バースの1年目成績と比較してみた。
7月に入って急上昇中のボーア
ボーアの現在の成績は以下のとおり。
試合:16
打率:.250
打席:59
打数:52
安打:13
本塁打:3
打点:9
※2020年7月10日終了時
開幕から18打席ノーヒットと散々だったが、6月24日の
ヤクルト戦(神宮)で初安打を記録。6月27日の
DeNA戦(横浜)で初打点を記録し、7月1日の
中日戦(ナゴヤドーム)では初ホーマーも飛び出した。7月に入ってから成績は急上昇しており、特に7月4日の
広島戦(マツダ広島)では4打数3安打、翌5日の同カードは3三振を喫しながらも満塁弾を放ち、4打点を記録。9日の
巨人戦(甲子園)でも豪快な一発を放ち、「覚醒した」といっても差し支えないような活躍を見せている。
ちなみに7月だけの成績でまとめると……。
試合:6
打率:.291
打席:24
安打:7
本塁打:3
打点:8
これは他チームの強打者たちに匹敵する成績だ。仮に開幕からの不振がなければ広島の
鈴木誠也やヤクルトの
村上宗隆に迫る数字を残していた可能性もある。
バースはどうだった?

1983年、来日1年目の阪神・バース
上述のように、レジェンド助っ人であるバースも1年目、1983年の序盤は不調だった。オープン戦で死球を受けて骨折したバースは、4月16日の開幕5戦目で代打起用され公式戦初出場。この打席は三振に終わり、翌17日、20日の試合でも代打で登場するが無安打。そのまま打てない日々が続き、気が付けば助っ人での球団ワースト(当時)となる15打席連続無安打を記録してしまった。
とにかく打てないバースだったが、5月4日の巨人戦(後楽園)でようやく初ヒットを記録。5月7日のヤクルト戦(神宮)では待望の来日初アーチも飛び出した。現在のボーアと同じ16試合目でのバースは以下のような成績だった。
●バース16試合時点での成績
試合:16
打率:.250
打席:39
安打:9
本塁打:4
打点:9
バースは1年目に打率.288、35本塁打、83打点と好成績を残しているものの、本格的に実力を発揮し始めたのは6月の半ばから。一時は新外国人獲得のために解雇の危機に陥ったこともある。しかし、この危機を乗り切ったバースは後半戦だけで26本塁打と驚異的な活躍を見せチームに残留。その後のさらなる活躍は皆さんもご存じのとおりだ。
ボーアは16試合を終えて打率.250、3本塁打、9打点と、かつてのバースと同じような復調ぶりを見せている。そもそもボーアはメジャー92発とメジャー実績ではバースより上だ。このまま調子を上げていけばバースの1年目と同じか、それ以上の成績を残す可能性もある。今回こそ「バースの再来」となるか、ボーアの活躍に期待したい。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM