
今季3敗目を喫した山崎だが、2017年序盤にも調子が上がらずに配置転換を経験。その年は中継ぎできっかけをつかみ、クローザーの座に返り咲いている
曲がり(落ち)始めが早いのだろうか、
山崎康晃のツーシームがことごとく打者に見極められてしまう。8回一死満塁のピンチで迎えたのは
広島・
會澤翼。昨秋、侍ジャパンでバッテリーを組んだ捕手が甘く入ったツーシームを見逃してはくれなかった。
7月26日の広島戦(横浜)は、一時
DeNAが6点リードする一方的な展開。ところが8回に
パットンが2本塁打を許し1点差とされると、9回は守護神・山崎が
鈴木誠也に同点打を浴び、會澤には右翼席に勝ち越し満塁弾を運ばれ、手痛い敗戦を喫した(6対10)。山崎は1週間前の
巨人戦(19日、横浜)に続いて、先発・
平良拳太郎にウイニングボールを届けることができなかった。
試合後、
ラミレス監督は「厳しい負け方だが、これも野球の一つ。信頼できる2人(パットン、山崎)を使った敗戦は仕方ない」と変わらぬ信頼感を口にした。特に山崎については「昨日は三者凡退に抑えていた。明日(月曜)リセットして、来週からやってもらおうと」と配置転換は考えず、火曜から始まる巨人戦でのリベンジに期待するという。
今季、セ・リーグはどこの球団がクローザーで苦労しており、9回での逆転劇が多い。発想を変えれば、リリーフ陣の勝ちパターンを早く確立したチームが上位進出の可能性を残すととらえることができ、ベイスターズも早く安定させたいところだ。
ラミレス監督は引き続き9回を任せることを明言するが、現時点で山崎が本来の姿でないことは明らか。であれば、過去の実績などを抜きにしてリリーフ陣の役回りをフラットな状態にしてみるのも手だ。クローザーは固定せずに、
石田健大、
三嶋一輝、パットン、エスコバー、
国吉佑樹ら、そして山崎を、対戦相手や球場との相性、コンディションを考慮して、試合の展開・場面に応じて勝てる可能性の高い投手でつないでみてはどうか。
その中で、山崎は7回を投げる日もあれば、9回のマウンドに上がる試合があってもいい。つまりは、臨機応変に“日替わり”で勝ちパターンを形成していくのだ。今春のキャンプイン前、ラミレス監督は一戦必勝、変幻自在の「DAY BY DAYベースボール」を提唱。リリーフ陣の建て直しが必要な今、その方針がぴったりと当てはまる。
文=滝川和臣 写真=佐藤博之