
試合終盤での代走出場が主のオリックス・佐野皓大だが、盗塁数はリーグ3位の7盗塁を記録している
いまだ失敗はない。今季、決めた7盗塁はすべて代走で出場したもの。成功が求められる中で、刺されることなく次塁を奪っているのがオリックス・佐野皓大だ。
50メートル走5秒7。大分高時代は四番・投手と、チームの大黒柱として甲子園にも出場し、投手として2015年にドラフト3位でオリックスに入団。だが、投手としては芽が出ず、野手転向で育成契約も味わった。そんな苦労人が“足”という武器を得て、働き場を得ている。
「いつかは盗塁を獲りたい」──
タイトルを目標に掲げるだけに、自身の走り方も熟知する。1歩の幅歩幅を大きく取る『ストライド走法』、小さな歩幅で回転を速める『ピッチ走法』と大きく2タイプに分かれる中で、後者だと言い「その場で飛ぶ」と表現する。
「その場で地面をしっかり蹴って、すぐに次の1歩を踏み出す。そうすることで、自然と次の1歩が早く出るんです」
一塁からのリード幅は13足分。迷わず答えられるのは、盗塁の意識の高さにほかならない。7月29日の
日本ハム戦(札幌ドーム)では、九番・中堅で先発出場し、内野安打2本と足を生かしてHランプを灯すなど、12球団トップのチーム計31盗塁と機動力向上を期すチームの中でも存在感を示している。
現在、リーグトップの12盗塁を記録している
ロッテ・
荻野貴司は故障離脱中とあって、タイトルレースの上位進出も十分に考えられる。代走のみでの盗塁でタイトル獲得となれば史上初のこと。オリックスの韋駄天は果たして今季、いくつの盗塁を決めることができるのだろうか。
写真=井沢雄一郎